情報公開法では、開示の判断を「開示請求があった日から30日以内にしなければならない」と規定されており、延長する正当な理由がある場合は「30日以内に限り延長することができる」とされている。
ところが、法定期限の8月29日を過ぎても開示されない。筆者が催促する電話を複数回かけたところ、厚労省の担当者は最終的に2020年末までには開示できないとして、手続きが終わり次第連絡すると記載された文書が送られてきた。
2021年が明けた。法律で定められた開示決定判断の最長期限から4か月余りも過ぎており、「違法状態」が今も続いている。
改めて、厚労省の情報公開室に開示できない理由などを聞くため別途、質問状を送ったが、回答期限までに回答はなかった。
◆安倍政権の隠蔽体質も菅政権に継承か
いわゆる「アベノマスク」に関して情報公開請求し、延長された開示決定期限を過ぎても開示がなされなかったのは違法だとして提訴した神戸学院大学の上脇博之教授は次のように指摘する。
「開示決定期限を延長して請求から60日以内に開示決定すると決めたのは厚生労働大臣です。自ら設定した期限も守らず、さらに120日が過ぎても開示決定すらしてないのは、明らかに違法です」
上脇教授は、厚労省が公開を先延ばしにしている理由について次のように言及した。
「厚労省は延長理由として『新型コロナウイルス対応』を挙げて、今は異例であるかのように説明していますが、政府による意図的な延長ではないかと思えるケースは、新型コロナウイルス発生前からありました。財務省の『森友学園』事件や総理主催『桜を見る会』事件などです。都合の悪い情報を隠し、開示を意図的に大幅に遅らせるのは、第二次安倍政権の隠蔽体質に起因しており、その病理的体質は、安倍路線を継承すると公言した菅政権の体質になっているとしか思えません」
そもそも、こうした随意契約関連の情報は、全ての人が閲覧・チェックできるように、契約後速やかに厚生労働省のHPで公開すべきではないか。
■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。
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