◆家財と家を担保に覚醒剤服用
協力者のA氏は、知りあいの安全員に聞き取りして、覚醒剤売買の実態に驚いたという。
「恵山(ヘサン)市で捕まった密売人の家に警察が踏み込んだところ、他人の家の家財道具、衣類、テレビ3台など、代金の担保に取ったモノが一杯あったそうだ。『入舎証』まであったと言っていた」
「入舎証」とは居住登録証明のことだ。北朝鮮では住宅は国有で販売できないので「入舎証」が取引される。覚醒剤代金がかさんで家まで取られたということなのだろうか。
◆逮捕しても死ぬだけ 、ガリガリの服用者は放置
「安全員が覚醒剤服用者を検挙しに家に行くと、家財が何にもなく、骨と皮だけになり果て屍のような人が多いのだそうだ。『そんな人間を逮捕しても死ぬだけなので、そのまま放置して帰ることもある』と言っていた。当局も頭を痛めているわけだ」
また売人の間で詐欺行為が多発しているという。多めの覚醒剤を卸しの密売人からつけで購入して小売りしておいて、つけを払わないという手口だ。ある売人が自首して詐欺に遭ったと供述し何人も捕まったとA氏はいう。
金正恩政権は覚醒剤、麻薬犯罪を傍観しているわけではない。金正日時代と比べてはるかに強力に対応している。取り締まりの目を避けるため、最近、売人たちはマスクの端に穴を空けて覚醒剤を入れて受け渡ししているという。マスクの売買のふりをするわけだ。
犯罪者たちもコロナ対応に余念がないようである。
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