職場では出勤時に作った堆肥を数キロずつ持参するように言われていている。ノルマ達成が厳しいので、金を取って代わりに堆肥を作る人まで現れているという。協力者は次のように言う。

「堆肥の売り値は500キロで80中国元(約1280円)だ。昨年は堆肥作りを自分でやらずに金で買う人が、私の人民班でも70%以上だったけれど、今年はコロナで皆、金がないので10%にもならない。皆、生産動員に行っています」

特別な事情があって「堆肥戦闘」に参加できない場合は、市内で作った堆肥を農村に運搬するための燃料費用を出さなければならないのだという。

◆幹部が率先して

今年の「堆肥戦闘」は興味深い現象が起こっている。幹部たちが率先して作業に出てきているのだ。「党組織の幹部たちが堆肥を載せたリアカーを引いて出勤するほどだ」と協力者は言う。

金正恩氏は党大会で、幹部こそが先頭に立って働くことを繰り返し求め、不正腐敗を許さないことも強調した。幹部を監視する組織の運用も活発になった。幹部たちは戦々恐々としている。

「偉そうにふんぞり返ってばかりだった幹部らが殊勝になったのはいいとしても、逆に融通が利かなくなって堆肥作りの圧力がきつい。堆肥泥棒まで現れている」

「堆肥戦闘」の現状を協力者はこのように説明した。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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