◆憲法417条とは

憲法第417条は、
「国家主権を反乱や暴力によって強奪または強奪しようとし、連邦の崩壊、民族連帯の崩壊、主権の喪失となる非常事態が発生した場合、または発生するであろうと判断する十分な理由がある場合、大統領は、国防治安評議会と協議して、大統領令を発し、非常事態を宣言できる。その大統領令において、非常事態とする領域は国の全土であること、期間は命令を出した日から1年間であることを明示しなければならない」
と規定している。

また、憲法第418条A項には、
「第417条に基づく非常事態宣言において、大統領は、国内の状況の速やかな回復のために必要な措置を講じることができるよう、国軍総司令官に国家の立法権・行政権・司法権を委譲することを宣言しなければならない。その宣言の日から、すべての議会の立法機能は停止したものと見なす。議会の任期が満了した際に、当該議会は自動的に解散したものと見なす」
とある。

2月1日は、昨年11月の選挙結果に基づいて、国会が招集される日であった。国軍は、再三の要請にもかかわらず、不正票について調査もせず、国会の開催を強行することは、国家主権を強奪する行為であるとして国家非常事態宣言と国軍の全権掌握を正当化した。

シャン州タウンジーでのデモ。(2021年2月8日・ニュンシュエ撮影)

◆高まる国民の抗議運動

国軍の全権掌握に対し、国民の抵抗は素早かった。1日の夜8時から、市民が一斉に鍋などを打ち鳴らすことで抗議の意思を示す運動が始まった。

また、新型コロナ感染者の治療にあたる病院職員は、防護服に「我々は選挙で選ばれたNLD政権だけを支持する」と書き、抗議の意思を表明した。選挙で投票所の運営を担当した教員や公務員たちは憤りを隠さず、赤いリボンと3本指を立てるハンドサインで明確に反対の意思を示した。

6日からは、学生や市民によるデモが、ヤンゴンやマンダレー、ネーピードーなどの主要都市のみならず、全国各地で起きており、2007年に起きた大規模な反政府抗議運動、いわゆるサフラン革命以来となっている。

国鉄職員、消防局職員、森林局職員、警察官、総務局職員など各省庁の公務員が続々とデモや政府機能を停止させるための不服従運動(CDM)に参加しており、1988年の民主化運動のような国民的な抵抗運動へと発展しつつある。
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