◆人民を窒息死させようとしている

ここは、まるで鬼神(幽霊)が住む街のようです。アパートから外を見ると動くものはアリ一匹いない。人が皆死んでしまって空き家だけになったようです。今、隣の家から泣き声が聞こえています。このまま飢えて死んでしまうのではないかと恐ろしいです。

(封鎖期間の)配給は何もありません。叔母から電話で連絡がありましたが、「食べる物がないのよ。あんたはどうやって食べているの?」と泣いていました。叔母にお金もコメも持って行けない。我が家にもキムチとコメしかありません。保存できないから毎日市場で買っていたのに、どうしたらいいのか。

(当局は)人民班を通じて必要なものを買えと言っていますが、家で商売している人々は物を売ろうとしないし、コメ商売をしていた人たちに連絡しても「売るコメがない」と言うんです。うちの町内で1日1食運動を始めるそうです。韓国や(国際支援)機構はコメや肉を送ってくれないんでしょうか?

薬もない、食べ物もない、(暖房・煮炊き用の)薪もない。お金があっても使えません。まるで国が強制的に人民を窒息させて殺そうとしているようです。封鎖するなんて、本当に悪いやつらです。

◆「金正恩が憎い」と彼女は言った

人民たちに何か過ちがあったのでしょうか。人民班では内部的に闘争しろと言いっています(自力で解決せよの意)。国境は奴らが塞いでいます。これは我々に罰を与えて、皆死ねということでしょう? 今回の封鎖が解けたら、銃で撃たれて死のうが韓国に行こうか?

なぜ密輸をする者がいるんですか? 食べていけなくなり、配給もないから、生きるために仕方なくやっているわけです。コロナで大変だけれど配給でもあれば耐えるのに、封鎖して市場まで閉めて…。金正恩のことが本当に憎いです。

電気は日に1時間くらいしか来ていません。寒くて同じ階の人たちが、(監視の)目を避けて暖房のある家に集まっています。(封鎖は)もう2回目だから、「糾察隊」も人民班長も目をつぶってくれるけど、アパートからは出るなと言います。家の中にいてお金も稼げずにどうやって生きて行けますか。コロナが始まる前に中国に逃げなかったことを本当に後悔しています。

※「糾察隊」は、社会風紀を取り締まる専門組織。青年同盟、女性同盟などの社会団体内で作られ街頭で服装や髪形、金日成罰時の着用などを取り締まる。

※アジアプレスは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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