◆モロッコの占領に反対するサハラーウィへ繰り返される人権侵害

1991年の停戦以降をふりかえれば、サハラーウィの犠牲者は「初」ではない。
西サハラのモロッコ占領地では、モロッコの占領に異を唱えるサハラーウィが逮捕、監禁、拷問され、多数の死者、行方不明者が発生している。

西サハラ問題の解決は住民投票をもって決められると約束されていたはずだ。それでもモロッコは、西サハラの占領の既成事実を進め、占領地内に暮らすサハラーウィへの弾圧を続けている。1991年の停戦から30年が経つ。サハラーウィにとって、住民投票の実施を信じただ耐え続けるには、あまりにも長い。「いつまで我慢すればいいのか」「仲間が傷付けられているのに、私たちは耐えることしか許されないのか」など、サハラーウィからは我慢の限界に達した声が聞こえてくる。

2020年12月、アメリカのトランプ大統領は西サハラにおけるモロッコの主権を認める大統領宣言を発表した。大国独自の論理を前に、国連での約束はこのまま反故にされてしまうのだろうか。それでもサハラーウィは、じっと耐え続けなければならないのか。

日本は西サハラの資源輸入国である。私たちもまた、西サハラに関与する国のひとつとして、国連中心主義を再確認しながら、西サハラに関心を持ち、解決をともに考える責任があるはずだろう。

アフリカ最後の植民地、西サハラを行く・・・ 岩崎有一 

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