◆周知ゼロで規制緩和?

もともと厚生労働省と環境省は2017年5月の通知で仕上塗材が「吹き付け施工」だった場合、「吹き付けられた石綿等に該当する」との見解を表明。その廃棄物も吹き付けアスベスト扱いとなり、廃石綿等と判断されることになった。

だが、ローラー塗りやこて塗りなどほかの施工の場合、アスベストを含有する成形板などと同じ石綿含有廃棄物とした。これによって、まったく同じ仕上塗材であっても当時の施工が吹き付けか否かによって、除去作業時の対策が変わるという矛盾を生んだ。明らかに国の失策である。

今回両省は大防法や労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)で仕上塗材を新たな区分として明記し、一律した規制に改めた。現場を混乱させてきた判断をようやく正したわけだ。

廃掃法は一定の基準に当てはまるものを「廃石綿等」として規定し、それ以外のアスベストを含む廃棄物を「石綿含有廃棄物」に分類している。すでに述べたように今回の規制改正で廃掃法は改正しておらず、そのため4月の改正大防法施行で結果的に「吹き付け施工」の仕上塗材が「廃石綿等」の定義から外れ、規制緩和されることになる。

環境省はその状況を当然認識しているが、廃棄物規制課は「年度内に検討会をして議論しようとしておるところ。事務局的な方針は考えておりますが、検討会前ですので確定した方針は出せていない」という情けない状況だ。

年度内に非公開の検討会を1回開催して方針を決めたいというのだが、すでに4月の規制緩和まで半月を切っているにもかかわらず、明確な方針が示されていない。同省が関連する政省令の改正に踏み切らない限り、4月から規制緩和となることが確実だが、その事実すら一切周知していないありさまだ。

環境省は一切その事実も知らせずに4月からアスベスト廃棄物規制を緩和するつもりなのか。

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