(参考写真)路上で商売する若い女性(左)に、市場管理員が売り物に難癖をつけて激しく罵っている。2013年3月平安南道の平城市にて撮影(アジアプレス)

◆庶民層が直撃受け動揺

北朝鮮当局が、4月中旬から個人の商行為に対し強い干渉・統制を始めていることが分かった。庶民層が自家製のパンや麺類などを販売することを禁じる他、公設市場でも未登録品を売れなくしている。違反した場合は商品を容赦なく没収するなど、当局の姿勢はこれまでになく強硬で、庶民層に動揺が起こっている。北部の両江道(リャンガンド)に住む取材協力者が4月21日に伝えてきた。(カン・ジウォン

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強力な措置は4月15日(金日成の生誕日)を過ぎてから始まった。公設市場以外での個人商売を根絶することが狙いだ。パンやソバを露天で売ったり、自宅で個人食堂を営んだり、路上の物品販売は一切許さず全面禁止になり、見つけると品物を容赦せず没収している。当局に承認されていない商売は断固許さないという姿勢だ

恵山(ヘサン)市の取り締まりの概要について協力者はこのように述べた。

(参考写真)駅前の大通りには座り込んで商売する多くの人の姿が。2013年9月清津市にて撮影アジアプレス

◆党大会の「社会主義強化」の方針

個人の経済活動を抑制しようという動きは2019年から強まっていた。今回の規制は、「個人主義を完全になくす」という中央から下達された方針の一環として実施さているという。1月の第8回労働党大会で強調された「社会主義の強化」、「非社会主義・反社会主義との闘争」という方針に基づくものだ。

北朝鮮には、当局が公認・管理している公設市場が数百カ所数ある。行政機関の商業管理局の所管だ。商売人は毎月「場税」と呼ばれる売り場使用料を納めて登録、およそ幅80センチのスペースを借りる。

一方で市場外での商行為も活発だった。市場の周辺や駅前などには、当局に登録していない商人たちが多数集まって物品の販売や露天食堂を営む。また、個人が自宅や倉庫で無届けの卸売りや小売りの営業するのも全国で見られた。このような当局の管理外の商行為を根絶する、というのが金正恩政権の今回の取り締まりの意図だろう。

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