◆韓国人より韓国語が上手

――韓国文化に憧れる若者が多いようですね?

P 若い子たちは服装や髪形に関心が強くて、やたらと韓国の真似をしようとします。それから韓国の言葉を使おうとします。14~17歳の子たち(高級中学生に該当、日本では高校生)の間では、韓流ドラマを見たことがなかったり、韓国風の話し方が下手だったりすると馬鹿にされるというんですよ。取り締まりがあるから人前では使わないけれど、若者同士で集まって遊ぶ時は、自慢げに韓国風に話します。

――びっくりです。

先日、市場に行く途中で、高級中学の生徒たち3人が話ながら前を歩いていました。聞き耳を立てていると、韓国風の言葉遣いです。今の若い子らは韓国人より韓国語が上手だと思う。

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◆社会主義の未来を信じる?

――金正恩政権は社会主義の強化を強調します。若い世代は社会主義の未来を信じていますか?

P 労働党員でないと出世できないので、何とか入党しようという考えは今も強いです。だからといって、党が言うように、社会主義で国が豊かになると考える若者なんてどこにもいないでしょう。大事なのは社会主義ではなく生活です。

若物に対しては、統制がさらにひどくなりました。学校で革命歴史に関する問答式の競演(競争)をしょっちゅうやらせています。大学入学試験で数学と英語の成績が良くても、革命歴史の点数が低ければ評価は悪くなります。

――金正恩氏に対する世間の認識はどうですか?

P 「金正恩を良いと思うか?」なんて尋ねる人がそもそもいませんよ。世の中の道理が

分かっている人ほど関心がないのです。私からしても、金日成の時代は良かった、金正日の時代に(経済が)滅びた、金正恩には皆の関心が消えた、そう評価しています。それが大方の住民の認識ではないでしょうか。

――金正恩時代になって丸10年。結局、改革開放に向かいませんでした。

P 最近、人民の経済活動に対する統制が非常に強まりました。政府が今やっているのは、人民に豊かな暮らしをさせようとするのではなく、人民は国家が与えるものを食べて仕事だけをしていればよい、という政策です。

人々の金正恩に対する認識は変わりました。米国、中国、韓国と首脳会談をした時は、もしかしたら朝鮮も変わるのではないか、もしかしたら豊かに暮らせるようになるかもしれないと期待しました。そんなものはまったく消えてしまいました。今の世の中を一言でいえば、何も信じられるものがないということです。(了)

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