◆護憲を唱える国軍側の実態
2月1日にミャンマー国軍が「クーデター」を起こしてから5カ月が過ぎた。国軍側は「憲法の擁護」を声高に叫び、一貫して法令に則って行動していると主張する。しかし、その実態は、法令に則ったように見せかけているだけであり、憲法に違反している。今回、2月から拘束されている国民民主連盟(NLD)幹部で人民議院(下院に相当)副議長のトゥントゥンヘイン氏の裁判書類を入手。不当な拘束の実態に迫る。(赤津陽治)
◆ふたつの政府が併存
クーデターでは通常、憲法が停止か廃止されるが、現在のミャンマーは様相が異なる。国軍側は、今回の「クーデター」を憲法に基づく一時的な全権掌握としており、「護憲」の立場をとる。一方、昨年11月の総選挙で当選した議員たちを中心とする民主派側は、軍による権力奪取を認めず、3月末、憲法廃止を宣言。新憲法の起草をめざし、4月中旬、国民統一政府(NUG)という並行政権を樹立した。現在のミャンマーは、国軍側の政府と民主派側の政府の“ふたつの政府”が併存する状況となっている。
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