◆タリバン関係者から警告「荷物をまとめておきなさい」
私はタリバン政権時代、隣国イランに難民として逃れ、危険な建設労働をして生活を支えました。タリバン政権崩壊後、アフガニスタンに戻りました。ヘラート大学の美術学部で絵画を専攻、その後、講師になりました。たくさんの学生に芸術、絵画を教えてきました。これまで私が積み上げてきた芸術への取り組みが、タリバンの支配で一瞬にして消え去るのではないか、そう思うと悲しくてなりません。
知り合いの作家や詩人には、すでにカブールを脱出した者もいます。
「タリバンは住民には何もしないから心配ない」という人もいます。しかし、私は違います。
先日、私の携帯電話にタリバンの関係者から警告メッセージが届きました。
「荷物をまとめておきなさい。あなたの状況は悪くなる」と書かれていました。
出ていけ、ということだと思います。
私は芸術家という面だけではなく、少数派のハザラ人でもあります。タリバンはこれまで、(シーア派が多い)ハザラ人を敵視してきたので、命の危険も感じています。 私は妻と幼い子どもとともに家の中でじっとするつもりです。逃げるにしてもどこへ行けばいいのでしょうか。安全な避難場所はないか、と妻と話し合っているところです。
米軍の撤退は時期尚早です。アメリカには見捨てられた思いでいます。
この先、どうなるのか分かりません。もしタリバンが政権を復活するにしても、流血や争いのない権力の移行と住民の安全を願うばかりです。いまはそれをただ祈るほか、何の力もない私たちには選択肢がありません。
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