映画「かば」(提供:映画「かば」制作委員会)

◆「社会全体が子どもたちに寄り添う場に」

36年前、教育現場で体罰は当たり前だった。体罰で心も傷ついた当時の子どもたちを思うとき、この映画の時代をノスタルジーな眼だけで見ることはできない。また差別は、姿と形を変え、現代の社会にも根強く残り、コロナ禍で困窮家庭も増えている。

他方で、教育現場の教師たちの仕事は、時間外勤務や休日手当もつかないほど、想像以上に厳しい世界だ。それでも、取り残された子どもたちを見捨てまいと奔走する「蒲先生」たちは今も各地にいる。

川本監督は言う。「『教師と生徒』という枠を超え、対等な人どうしとして、とことん向き合った蒲先生。その信念と行動力から学べるものがあるのでは。学校だけでなく、社会全体が子どもたちに寄り添う場になってほしい。その願いも映画に込めました」。

蒲先生を演じるのは大阪出身の山中アラタ、ヒロインの新米教員役に折目真穂、蒲先生の教え子役は元NMB48の近藤里奈ほか。関西演劇界の実力派も脇を固める。

現在、東京・新宿K's cinemaにて上映中。8月13日からは京都、横浜、大阪、名古屋、吉祥寺で順次上映。その後、全国展開の予定だ。教職員向けの講演・上映会も各地で行っている。

 

◆監督・脚本・プロデュース 川本貴弘(かわもと・たかひろ)
1973年京都市生まれ。映像制作を学び、映像ディレクターとして活動。その後、映画監督に。作品に「傘の下」(2012)など。

◆映画「かば」劇場情報
上映中 東京・新宿、K's cinema(電話:03-3352-2471)
8月13日(金)~アップリンク京都(電話:075-600-7890)
8月14日(土)~横浜、シネマ・ジャック&ベティ(電話:045-243-9800)
        大阪十三、第七藝術劇場(電話:06-6302-2073)
8月20日(土)~名古屋シネマテーク(電話:052-733-3959)
8月27日(土)~東京、アップリンク吉祥寺(電話:0422-66-5042)

 

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