ミャンマー最大都市のヤンゴン市で10日午後、軍・警察の捜索を受けたアパートの住人が上層階から転落し、6人が死傷した。ミャンマー・ナウなどの独立系メディアが伝えた。(赤津陽治)
ミャンマー国軍と警察は10日午後、ヤンゴン市ボタタウン区44番通りにあるアパート3階の一室を捜索。捜索を受けた住人が逃亡を図って、建物の屋根に逃げたが、1人が撃たれ、転落。その後、他の5人がアパート裏の路地に飛び降りたという。
国営放送は、2人が死亡し、3人が重傷を負ったと伝えている。一方で、独立系メディアは、6人が死亡したと報じている。いずれも20代の若者で、女性1人が含まれるという。
当局は、アパート正面から上がっていき、一部がアパートの裏手にまわり、その後、4、5発の銃声が聞こえたとの付近住民の証言がある。
飛び降りるのを見たという目撃者によると、初めに青年1人が当局に銃で撃たれて落下したのち、建物の屋根に逃げていた5人が手を取り合って飛び降りたという。
住民の証言では、即死した3人は死体袋で運ばれ、重傷の2人は呻きながら水を求めていたという。事件発生から約2時間後、救急車が来て、運ばれていった。
ソーシャルネットワーク上には、この事件に関して当局が無線連絡を行なっている際のものと思われる音声ファイルが拡散した。その音声では、「ソートゥン大佐率いる軍・警察合同チームで捜索に入った際、1名を拘束したが、男4名と女1名は自ら飛び降りた。3名の状態は悪く、2名が重傷」といった内容が語られている。
独立系メディアの『キッティッ(新時代)』によると、この事件で6名が死亡し、2名が拘束された。遺体はヤンゴン市内の国軍病院に運ばれたとみられるが、家族に返還されていない。
亡くなった若者のひとりイェミンウーさん(27歳)の父親は、ラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューに答え、「息子は、PDF(国民防衛隊)でもない。NUG(国民統一政府)のことも知らない。元々政治に関心のない若者だった。2月のクーデター以降、デモに参加するようになり、友人たちと独自に抵抗運動に参加していただけだった」と語った。
軍と警察による捜索で転落して死亡する事件は、これまでも起きている。