大阪府堺市は9月27日、市内の小学校4校で体育館の天井裏から吹き付けアスベスト(石綿)が見つかったと発表した。公園施設に続いて次々危険性の高いアスベストの見落としが明らかになったわけだが、今回は重大性が異なる。児童らが日常的に曝露していた可能性があるのだ。(井部正之)
◆当初は「非公表」方針
新たに天井裏の吹き付け材(耐火被覆)からアスベストが見つかったのは日置荘小学校、登美丘西小学校、八田荘小学校、福泉小学校で、いずれも体育館3階の天井裏。4校は1977~1979年に竣工しており、いずれも体育館の上に教室がある構造である。
市教育委員会が3月に市内の中学校で特別教室の空調整備工事を実施したところ、体育館の4階に教室があり、天井裏に吹き付け材が見つかった。分析したところ、アスベストの検出はなかったという。
市内の公立小中学校135校のうち、同じ構造の体育館がほかに7校で存在するため、改めて確認したところ、6校で吹き付け材が使われていた。それらを分析機関が採取して調べると、7月1日に上記4校で吹き付け材からアスベストの1つ、クリソタイル(白石綿)を検出した。含有率は3.4~4.3%。市は同日、分析結果の速報値を把握している。
ところが各校の校長にアスベスト発見を知らせたのは2カ月半後の9月16日。保護者に知らせたのは約3カ月後の報道発表と同じ9月27日。あまりにも遅すぎる。
市教育委員会学校施設課は「(担当課で)管理すればよいと思っていた」と公表しない方針だった。
しかし同じように新たに公園施設から吹き付けアスベストが見つかった件で市建設局は8月末に公表したことを受け、9月になって環境局や建築都市局に相談。その後測定などを実施したうえで今回の発表となったという。
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