◆施工30年超でホコリなし?

堺労働基準監督署に事実関係を質すと「相談があったかどうかも含め、個別の案件には答えられない」と回答した。ただし同監督署は一般論として「数枚程度の成形板の取り替えであれば対象外の場合もあるが、囲い込み工事に当たると判断されれば必要になります。個別に相談された場合は測定データや場合によっては現場確認もして、吹付けが劣化しているか、こぼれ落ちているかといったことから総合的に判断します」と明かす。場合によっては法違反もあり得るということだ。

大防法を所管する市環境対策課は「(教育委員会から)一般論として聞かれたことはあるが、この工事については聞いてない」と教育委員会の主張を否定する。また市環境対策課は「アスベストにも触れないだけでなく、振動もなく飛散しないなら届け出対象外とは説明した」という。

囲い込み作業で隔離養生などが必要とする「切断、破砕等」を含む作業について、環境省は2020年11月の施行通知で「切断又は破砕のほか、作業時の振動によって石綿の飛散のおそれがある場合」が含まれているとの解釈を示す。同様の解説は3月に公表された同省のマニュアルにも記載されている。

市教育委員会は法令やマニュアルなどを確認したうえで「アスベストは飛散しないとの判断で(対策なしに)やりました」(学校施設課)と話す。

対策不要の根拠は、施工業者が天井裏を目視でみて、「アスベストが落ちていない、積もっていないと確認した」というものだ。しかし測定などは実施しておらず、現場確認した業者もアスベストの調査についての資格を持っているわけでもない。本当に適切に確認されたのかすら怪しいといわざるを得ない。

同省大気環境課は「一般的には(天井裏の吹き付けアスベストを成形板で)隠すのは囲い込み。切断だけでなく振動も(隔離養生などが必要な作業に)当てはまることは通知などで示したとおりです。成形板を割らなくても振動することもある。振動も考慮にいれてくれよというのが国の思いです」との見解だ。

ちなみに厚生労働省化学物質対策課は「石綿則上は吹き付け材に直接触れる場合だけが規制対象です」と話し、囲い込み作業の認識にずれがある。少なくとも大防法違反の可能性がある。

おまけに4校の竣工時から天井板があったと市は説明しており、吹き付けアスベストは施工から30年以上経つ。経年劣化していることは市も認めており、天井裏にまったくアスベストを含む吹き付け材の破片が落ちていないなどあるわけがない。

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