◆行政対応の第三者検証「必要ない」

一方、同様事例で必ずといってよいほど実施されている行政対応の第三者検証について永藤市長は「違法工事が明確でありましたら、対処も必要だと思いますが、私たちはそのつど適正に対処した」として、「必要ない」との認識だ。

しかし仮に法違反でなかったとしてもアスベストが飛散する工事やそれ以前の建物の管理の悪さによって子どもに曝露させたとすれば、そうした行政対応が適切だったのかをきちんと外部の専門家に検証してもらう必要があるのではないか。今回の補修工事ひとつとっても、あえて法違反ギリギリの方法を子どもたちのいる学校で実施すること自体がおかしいといわざるを得ない。何度か行政対応の検証について聞き直したが、市長は拒否し続けた。

WHO「基準」なる「世界の都市部の一般環境中の石綿濃度は、1リットルあたり1本から10本程度であり、この程度であれば健康リスクは検出できないほど低い」と称する、実際には存在しない濃度基準を“ねつ造”し安全を主張した問題については、国が基準を示さず他都市でも同様の記載をしていると横並び意識で言い訳をしながら、行政対応の検証では他都市の対応を無視した。こうした説明も矛盾している。

そもそも健康リスクの検証をせざるを得ない状況がすでに大変な事態で、そうした際に他都市では必ずといってよいほど実施されている行政対応の検証は実施しないという堺市の対応はいかがなものか。実際に子どもたちにアスベストを吸わせていたとすれば、作業の適法性も含め市側の説明だけで保護者の納得が得られると思っているのだろうか。そうであれば、リスク管理が甘いといわざるを得ない。

会見後にあいさつした際に改めて第三者検証について尋ねたところ、永藤市長は「必要なら対応する」と答えた。今後の方針見直しに期待したい。

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