◆穀物盗は撃ってよしと指示
「とにかく取り締まりが凄まじい。『食糧は一粒までが国家財産。これに手をつけた者は容赦なく法的に処罰する』と当局は広報している。農場に配置された除隊軍人で警備隊を作り、さらに民兵組織の労農赤衛隊まで動員して24時間警備だ。安全局(警察)が承認して夕方5時に支給、翌朝7時に回収する方法で実弾を支給している。盗賊は撃ってよいと言われた」
一番の警戒対象は、都市住民による穀物盗だ。協力者が続ける。
「暮らしに行き詰った都市の人たちが遠征してくるのだが、農村に向かう道は警備が厳しいしコロナ防疫の検問があるので、山道に迂回して農場に入って盗んでいく。それで迂回路には釘を打ち付けた板や罠まで仕掛けている。先日、まだ熟していない大豆を盗んで販売していた者たちが捕まった」
当局が頭を痛めているのが生徒・学生による穀物盗だ。小中学生から大学生までが、かわるがわる畑に入り込んで盗んでいくので被害が大きいという。労働党機関で問題視して、「生徒・学生による農作物侵害をなくす方策」を各団体で立てるよう指示まで出している。
◆市場では販売穀物の出所まで調査
市場にも影響が出ている。収穫が終わったにもかかわらず、トウモロコシなどの穀物価格がほとんど下がらないのだ。流入量が減ったからだ。
「市場で農産物を販売する際、どこで収穫したものなのか、市場管理所にいちいち通知しなければならない。茹でたトウモロコシを売っているだけなのに、どこから運んできたものか説明を求められるほどだ」
別の協力者はこのように述べた。
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
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