北朝鮮当局は、9月中旬から全国の協同農場に収穫された食糧の盗難と流出の阻止を命じ、農村は厳戒態勢に入っている。畑や倉庫、農村に通じる道は銃を携行した人員が24時間警備している。収穫した穀物が国家に納入される前に市場に流出するのを防ぐのが狙いだ。(カン・ジウォン/石丸次郎)
◆国家保有食糧の目減りを懸念
9月初旬から始まった主食のトウモロコシの収穫は終了、ジャガイモと大豆は収穫中、コメは刈り取りが始まっている。全国の協同農場で、脱穀、乾燥、生産高を確定させる作業が続く。収穫された食糧は、おおまかに次のように区分される。
1)農民への分配
2)協同農場の保有分
3)国家納付分
4)軍隊向けの「軍糧米」。
3)と4)が、党、行政、警察、軍需工場、平壌市民、軍隊など、体制維持に重要な対象への供給用の「国家保有食糧」だ。
当局は、農場から「国家保有食糧」が流出しないよう、毎年秋に取り締まりを強化する。倉庫や畑での盗難防止と、商売人を通じて市場に流出するのを防ぐためだ。今年の警備は例年と比べものにならない厳しさだという。10月初旬、両江道(リャンガンド)の取材協力者は次のように伝えてきた。
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