大阪・堺市の小学校で体育館3階教室の天井裏の吹き付け材からアスベスト(石綿)を検出した問題をめぐり、少なくとも児童150人超がばく露リスクのある教室を利用していたことが明らかになった。(井部正之)
◆健康リスクの検証12月下旬に開始
同市では7月1日に日置荘・登美丘西・八田荘・福泉の4つの小学校で体育館3階にある教室の天井裏に使用されている吹き付け材から新たにアスベストを検出した。
このうち日置荘小学校では少なくとも2015年から天井の点検口が欠損。教室と天井裏が直接つながった状態となっていた。ところが教室は学童保育(のびのびルーム)で使われてきたことから、天井裏からアスベストが飛散していた場合、児童らが吸ってしまった可能性がある。
また直接つながっていない場合にも、天井板のすき間からアスベストが少しずつ飛散していた可能性があると専門家は指摘している。
市教育委員会学校施設課はかねて児童らの利用状況について「不明」としてきた。
だが12月7日の市議会質疑で長谷川俊英市議は学校に確認した内容として、「150~160人の児童が利用していた」ことを明らかにした。卒業生などまで含めた人数なのかなど詳細は不明だが、天井裏のアスベストが点検口を通じて教室内に飛散していた場合には、それだけの児童が吸っていた可能性がある。
また八田荘小学校でも少なくとも2016年から天井板の一部がはがれてなくなっていたが、倉庫などだったため、比較的児童の利用が少ないという。
長谷川市議は登美丘西小学校でも天井板を交換した形跡があったうえ、低学年向けの図書室などとして利用されていたことを報告した。また福泉小学校では天井ボードの破損などはなかったが、理科室などとして利用されていたという。
市は児童らの健康リスクについて検証する懇話会を11月1日に設置しており、12月24日午後2時から第1回会合を市総合福祉会館(堺区南瓦町2番1号)5階大研修室で開催する。
会議は公開で行われ、傍聴可能。事前手続きはなく、当日直接会場に行けばよいという。傍聴者の定員は30人としているが、会場が十分広いため、それより多くても対応可能としている。詳細は市ウェブサイトの教育委員会トップページの新着情報を参照。
市は懇話会開催について報道提供しておらず、教育委員会のページにだけ掲載されており、市ウェブサイトの「新着情報」にも掲載されていない。市教育委員会はその理由も明確にしておらず、かろうじて保護者に対しては懇話会開催について通知するとしているものの、開催を極力知らせたくないかのように映る。
児童らがアスベストを吸ってしまったかもしれず、将来的な健康リスクを検証せざるを得ないというのはきわめて深刻な事態である。にもかかわらず、この間市教育委員会は保護者に対して説明会すら開催しておらず、市議会で認めたように危機意識が不足しているといわざるを得ない。
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