◆「どんどんばくち打ちを集めたらいい」と言った橋下氏
夢洲の面積は甲子園球場100個分の391ヘクタール。市が廃棄物などの処分場として使うため1977年に埋め立て免許を取得した。83年に夢洲、舞洲(まいしま)、咲洲(さきしま)の人工島3島の国際情報都市計画が浮上したが、企業進出が進まず行き詰まった。2008年五輪を大阪で招致し夢洲を選手村にする構想も、招致に失敗してとん挫した。
「負の遺産」と言われた夢洲にカジノ誘致を提唱したのが08年に府知事に当選した橋下徹氏だった。
「こんな猥雑な街、いやらしい街はない。ここにカジノを持ってきて、どんどんばくち打ちを集めたらいい」(09年、大阪市内での講演)などと発言。
大阪維新の会を結成して臨んだ11年のダブル選を制すると、橋下市長、松井知事による維新府市政のもと13年には府市IR立地準備会議が動き出している。
ちなみに維新の看板政策「大阪都構想」は大阪市を廃止、特別区に分割し、政令市の財源と権限を奪うのが本質。当時、橋下氏は「カジノは大阪都構想の試金石」とも発言している。
カジノは刑法が禁じる賭博だ。12年の衆院選で維新は国政に進出、IRを成長戦略の柱とする当時の安倍首相や菅官房長官と連携を深めた。16年のIR推進法、18年のIR整備法、ともに成立に協力した。
橋下氏、松井氏らはもう一手を繰り出す。14年に万博誘致を表明したのだ。橋下氏は15年の「都構想」住民投票で敗北し政界を引退したが、知事の松井氏のトップダウンで夢洲が候補地と決定。府・市は万博、IRをセットで誘致する「夢洲まちづくり構想」をまとめ、万博前年の24年をIR開業時期とした。
万博への来場者数は半年の会期で2800万人と想定。1日換算で「ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)」の4倍という試算だが、それでも18年、大阪での二度目の万博開催が決定した。
桜田さんは「とうていカジノではできない夢洲の公共事業を進めることを目的に、関西財界と知事、市長が打ち出したのが万博誘致」と指摘する。
万博を表看板にしてインフラ整備、半年の会期が終われば、残るのはIR。府・市は19年、工業・準工業地域だった万博・IR区域を商業地域として使えるように用途変更。大規模施設の建築も可能になったのだが…。(続く)
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