父親から事務所をタダで提供されていたことを3年間も政治資金収支報告書に記載せず、その上父親からの寄付が、法定の上限を超えていたことで刑事告発された日本維新の会の池下卓(いけした たく)衆議院議員。先の総選挙で「辻元清美に勝った」と注目を集めたが、今、カネの問題が次々と浮上している。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)
◆「父から借りそれを自分の後援会に貸した」という体裁に修正
池下議員の政治団体である「池下卓後援会」(以下、後援会)は、池下議員の父親名義の実家を無償で提供されていたにもかかわらず、それを記載していなかった。その上、父親から法律で決められた上限の寄付を受けていたため、無償提供の寄付分を合わせると寄付の上限を超えるなどとして、市民団体から刑事告発されていた。
筆者が大阪府選挙管理委員会への情報公開で入手した資料によると、池下卓氏本人から後援会に無償提供されたと修正されている。後援会の事務所がある池下議員の実家は、父親から池下卓氏本人が借りた上で、池下卓氏本人から後援会に貸したという体裁が取られていた。週刊文春の報道後、池下氏が自身のブログで発表した通りの修正がなされていることが確認できた。
◆資金の不記載が次々と発覚
1.不可思議な寄付
後援会の収支報告書にはまだ不可思議なところがある。
統一地方選挙が行われた2015年のことだ。松浪健太前衆議院議員(現:大阪府会議員)の政治団体「ケンタネット」から4月3日に「池下卓後援会」に10万円の寄付をしたと記載されている。しかし、「池下卓後援会」には、10万円の寄付を受けたという記載がないのだ。
2.さらに150万円の不記載
さらに池下議員は2015年4月に行われた大阪府議会議員選挙で、後援会から池下卓氏本人に150万円の寄付があっと選挙運動費用収支報告書に記載しているが、後援会の方の収支報告書には150万円の支出の記載がないのだ。
これらはいずれも不記載にあたり、法律違反だ。だがすでに時効である3年が過ぎているため刑事告発の対象とならなかった。
法律違反の不記載が次々に発見される点について、池下議員に質問したところ、
「(収支報告書に)記載漏れがあったので、すでに収支報告書を修正した」と回答があった
情報公開請求で入手した資料を確認すると、いずれの件でも回答通りに修正されていたことが確認できた。ところがである。
◆会計簿の確認求めるも回答なし
これら不記載があったのは2015年だが、情報公開請求して入手した資料を見ると、この年以降、毎年「前年からの繰越額)という項目に修正が施されていることが確認できたのだ。
政治資金規正法では、会計簿をつけることを義務付けている。不記載があった場合、当然会計簿と収支報告書とで合計金額が違ってくるはずだ。例え2015年に不記載がわからなかったとしても、翌年には気づくばずだ。それを2015年から6年間も気づかなかったということがあり得るだろうか?
その疑問を確かめるため、筆者は池下議員に対して、関連部分だけでよいので会計簿を確認させてほしいと求めたが、回答はない。