◆市議会でも「検証必要」

この問題は2020年10月以降、市議会でもたびたび取り上げられている。

2021年12月8日の本会議では小林るみ子市議(つなぐ)が「結果はばらばらで、どれが正しいのか、何を信じていいのか、市民が納得できるものではなく、不信感が残りました。調査結果がなぜここまで異なるのか」と追及。

油井洋明副市長は「請負人が事前調査の再調査を行うとともに専門機関にも確認を行いましたけれども原因の特定に至らず、アスベストの含有について否定することはできないとの判断で、今回新たな解体の工事をしようとするものでございます」と釈明した。

検証のために3回目となる再調査を公的機関で実施させたにもかかわらず、結局あいまいなままアスベスト除去費用だけが大幅に増えることへの不信から、電気室における吹き付けの見落としも含め、「2度と同じようなことが起こらないように第3者機関で検証すべき」との意見が複数の議員にから出された。

市は2023年10月から大気汚染防止法(大防法)などで義務づけられる有資格者による調査を前倒し導入することで再発防止の徹底を図るなどと回答し、検証について明言を避けた。

その後も保険医協会と市の間で同様の議論が何度も繰り返されてきた。だが、市は拒否し続けている。

2月には改めて解体工事に向けた説明会を実施し、3月中旬に着工の予定だ。同下旬には吹き付けアスベストなどの除去も始まる見通し。仕上塗材の除去は5月という。

県保険医協会とともにこの問題を追及している市民団体「ストップザアスベスト西宮」代表の上田進久さんは「いくつかのサンプルで陽性(アスベスト検出)が出れば、陽性を採用する。安全のために一般的にはそうなんだろうけど、今回3つの分析機関でこれだけの数でアスベストの有無が一致しないという問題が生じているのだから、実際には(アスベストが)『ない』ものを『ある』として報告しているケースだってあるかもしれない。きちんと第3者の専門家が調査結果の不一致を検証すべきです」と訴える。

3月1日の市と県保険医協会の話し合いで改めてこの件を問われた市住宅建設課はやはり検証を拒否。その際、こう説明した。

「(検証先とする)建築物石綿含有建材調査者協会にも問い合わせましたが、(アスベストが)『あり』と出た分析結果を『ない』と誰がいえるか。どなたも明確にお答えいただいてない」

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