◆徹底調査と飛散防止を

こうした経緯をふまえて改めて確認すると、同社は「(同事業所が発生源の)可能性が高い」と認めた。

フラノ事業所では旧鉱山の鉱滓「ズリ」であるクリソタイルを含む蛇紋岩を無害化して肥料を製造している。無害化に使う焼成炉の排ガス処理設備を更新したり、設備などの点検もしているが、いまのところ原因が特定できていない。

同社は「当社が原因と想定して外部に流出しないように原因を追求しながら進めております」というが、敷地境界の測定は半年1回程度で、作業環境測定もしていないなど、徹底した調査が行われているとは言い難い。

同省の検討会は焼成炉からの排気とみられる熱処理により非結晶化した繊維とアスベストの両方が検出されていることからも、同社事業所からの排出と指摘している。

厚生労働省資料によれば、同事業所では9人の従業員がアスベストが原因とみられる中皮腫や肺がんを発症し、労災認定を受けている。アスベスト飛散を見逃し、労働者や周辺住民らに被害が出るようなことがあってはならない。徹底した調査による原因究明と対策が望まれる。

※山崎淳司教授の崎は「山へんに右側は立に可」が正式表記

【関連資料】環境省によるノザワフラノ事業所の敷地境界付近における測定結果の詳細や報告内容

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