◆脱出住民に重なった自分の家族の姿
その後、タリバンは勢力を盛り返し、今年夏には20年にわたって駐留してきた米軍が撤退。ガニ大統領は国外に逃れ、タリバンがほぼ全土を掌握した。
国外に脱出しようと空港に押し寄せる人びと。その様子をテレビで見たナジールさんの目に、自分の家族の姿が重なった。
◆「美しい自然や豊かな文化も知って」
「いつも大国に翻弄され、戦争と混乱で多くの人びとが国を出るしかなかった。悲しい歴史が繰り返された」
ナジールさんは、宝飾店とともに日本の機械部品の輸出も手掛ける。店のラピスラズリの売り上げのほとんどは、カブールの貧困地区の住民の生活支援に寄付している。
戦争だけでなく、美しい自然や豊かな文化も知ってほしい、と話す。苦境にある故郷だが、これからも尽くすつもりだ。
(※本稿は毎日新聞大阪版の連載「漆黒を照らす」2021年12月21日付記事に加筆したものです)
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