昨夏、旧政権崩壊とタリバン復活で、経済も混乱。住民の生活にも深刻な影響が広がった。ナジールさんは現地のニュースを頻繁にチェックする。(2021年11月下旬・神戸市:撮影・玉本英子)

◆脱出住民に重なった自分の家族の姿

その後、タリバンは勢力を盛り返し、今年夏には20年にわたって駐留してきた米軍が撤退。ガニ大統領は国外に逃れ、タリバンがほぼ全土を掌握した。

国外に脱出しようと空港に押し寄せる人びと。その様子をテレビで見たナジールさんの目に、自分の家族の姿が重なった。

父は貿易商の傍ら、宝飾店を経営し、ラピスラズリの販売を手掛けてきた。いま、ナジールさんは父のあとを継いで、貿易業をしながら店の運営にたずさわる。(2021年11月下旬・神戸市:撮影・玉本英子)

◆「美しい自然や豊かな文化も知って」

「いつも大国に翻弄され、戦争と混乱で多くの人びとが国を出るしかなかった。悲しい歴史が繰り返された」

ナジールさんは、宝飾店とともに日本の機械部品の輸出も手掛ける。店のラピスラズリの売り上げのほとんどは、カブールの貧困地区の住民の生活支援に寄付している。

戦争だけでなく、美しい自然や豊かな文化も知ってほしい、と話す。苦境にある故郷だが、これからも尽くすつもりだ。

店のラピスラズリの売り上げのほとんどをカブールの貧困地区の生活支援に寄付している。(2021年11月下旬・神戸市:撮影・玉本英子)

 

(※本稿は毎日新聞大阪版の連載「漆黒を照らす」2021年12月21日付記事に加筆したものです)

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