◆強制配置された若者たちが離脱
――どんな若者たちが逃げているのか?
「高級中学(高校に当たる)や大学を卒業した若者に無理に、『三池淵に行きたい』と嘆願させて集団進出させた。本人が知らない間に当局が居住登録文書を勝手に移転させてしまうことも多くて、不満が最初からあった」
――三池淵から自由に離脱できるのか?
「もちろん理由がいる。嫁入り、病気治療、家庭困難などの口実を作ってどんどん逃げ出している」
◆当局は処罰厳格化 追放まで
――当局は規制していないのか?
「とんでもない。人民委員会(地方政府)の労働部が集中的に調査している。他地への出張を禁止にしているし、病気名目の場合は、病院の診断書がないと実家に戻っての治療も許していない。女性の場合、結婚を口実に三池淵から抜け出ようとする人には、市の労働課で食糧配給書類を移転してくれない。黙って出ていった人が大勢『労働鍛錬隊』に送られている。ひどい場合は、まったく別の僻地に追放までしているそうだ」
※労働鍛錬隊は短期の強制労働キャンプ。
三池淵開発は、金正恩氏直々の国家最優先プロジェクトである。労働党の指示で集団配置された若者たちの離脱は御法度だ。当局が厳しい処罰で臨むゆえんだ。
取材した協力者は次のように言う。
「三池淵に行った若者たちは『袋の中のネズミ』になってしまった。中で身動きもできず、外にも出られない」(カン・ジウォン/石丸次郎)
※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
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