◆自然由来のアスベストか

現場の場所や施設名などは非公表だが、市環境政策課は「詳細な場所までは答えられないが、施設の北西15キロメートル付近に角閃石石綿鉱床が存在し、南東45キロ付近に角閃石石綿鉱床および温石綿(クリソタイル)鉱床があると環境省から連絡を受けている」と明かす。それだけ自然由来のアスベストである可能性を考えざるを得ないということだろう。

2022年2月の測定では、敷地境界付近で総繊維数濃度で最大同4.8本を検出。アスベスト濃度は同1本で、角閃石系のトレモライトを検出したという。ただし委員から「九州産のトレモライトはどちらかというとアクチノライト」と指摘を受けている。

以前から破砕機近くでアスベストが高めに検出されていることから、このときの調査では、施設内に保管されていたコンクリートブロックやアスファルトがら(破片や塊)、コンクリートがら(各3種類)に加え、堆積粉じん1試料、土壌6試料(施設内4地点、施設周辺2地点)を採取して国際標準の実体顕微鏡と偏光顕微鏡を組み合わせた定性分析法「JISA1481-1」やSEMで調べた。

すると意外なことがわかった。

アスベストを含む廃棄物が破砕されているのではないかとの疑問から廃棄物を調べたが、「すべてへき開(細長い破片で繊維状でない)粒子」であり、国際的にはアスベストと判定されないものだった。土壌についても同様だったという。この間アスベストと報告されてきたものがじつは国際的にはアスベストではない可能性が出てきた。

ただし、「堆積粉じんの試料では、アスベストかへき開状粒子か判断に迷う繊維状粒子が1本のみ確認された」とも報告され、アスベスト含有の可能性は否定されていない。

検討会でも愛媛大学農学部非常勤講師の貴田晶子委員が「SEMの写真を見ますと、へき開粒子もあるけども、繊維状のもの(アスベスト)も見えている。全部が全部へき開粒子ではない」として、アスベスト含有があったことを指摘している。

この地域では、トレモライトを含む安山岩などが産出され、コンクリートブロックやアスファルトがら、コンクリートがらに安山岩が骨材として利用されている。破砕機周辺でアスベストとみられるものが高めに検出されていることからも、この地域で産出した骨材を使った建材にもともと自然由来のアスベストが含まれている可能性があるという。

一方、破砕機の周辺以外でもこの間の測定ではアスベストとみられるものが検出していることから、土壌由来の可能性も捨てきれない。

★新着記事