◆トンデモ主張繰り返す元請け

控訴審でライフテック・エムは、
(1)市の現場検証を実施したマルコオ・ポーロ化工(愛知県豊田市)に「原因究明を行う能力はない」
(2)飛散実験をした同社技術者の証言が「信用できない」
(3)現場でアモサイト(茶石綿)が検出されたのは事故と無関係
(4)駅構内のアスベスト飛散は負圧除じん装置からの漏えいでなく、市の保健所職員と施工者の接触汚染が原因
──などと改めて主張した。

いずれもほとんど言いがかりといってよい内容で、十分な裏付けもない。だが、高裁はそれぞれについて細かく検討し、見解を示している。

たとえば(1)や(2)に関係することでは、マルコオ・ポーロ化工の担当者が飛散実験でベビーパウダーによる疑似粉じんを使用した理由について、「クロシドライトよりも粒子の粒が大きいベビーパウダーが(負圧除じん装置のすき間から)入れば、クロシドライトも通過する可能性があったと判断できるためであると具体的に証言している」ことから、高裁は「証言の信用性は揺るがない」と判断した。

同じく(1)に関連し、検証で負圧の調査をしなかったことについては、すでに負圧除じん装置のすき間が確認され、写真や動画で煙の吸い込みや疑似粉じんがすき間から適切に除じんされずに流出するという「通過の痕跡を確認することができる」ことが示されていた。そのため、すでに現場の「養生や本件各(負圧除じん)装置に不備があった状況から、負圧を保つことができないことが明らかであったと判断して、負圧の調査を実施しなかった」と改めて調査の合理性を認めた。

(3)についても、負圧除じん装置の1つでHEPAフィルタ取り付け部から実際にアモサイトが検出されたことに言及。高裁は「(飛散事故現場の)換気機械室以外の場所で本件工事より前に本件装置3(負圧除じん装置の1つ)の内部に集積されたアモサイトが、本件事故の際に排出されたことが推認され、これは、本件事故の際、本件装置3にすき間があったことを推認させる事実である」とむしろ飛散原因である裏付けをより強めているとの見解を示した。

(4)の接触汚染が原因との主張にいたっては、測定が「前室エリアの入口の外で実施され、港保健所の職員は、前室エリアを含む換気機械室に立ち入っていないから、接触感染が生じた可能性があったとはいえない」などと否定した。

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