◆改めて制度の抜本改正が必要
同社はほかにもさまざまな主張をしていたようだが、高裁は「控訴人らの非難は当を得ないものというほかない」と一蹴。控訴は「理由がない」と断じた。
判決後、市交通局営繕課は「市の全面勝訴です。主張が全面的に認められた」とコメントした。請求金額の全額が認められている以上、たしかに市の完勝である。
4月25日、改めて市交通局に確認すると、営繕課の宇佐美智伯課長は「上告はされていない」として判決が確定したことを認めた。また「債権は回収できております」と、すでにライフテック・エムからの支払いが完了したことを明かした。
同社は何度電話しても「わかる者が不在」で、質問状をファックスで送ったが期日までに回答がなかった。
2013年12月の事故から8年あまり。駅構内に高濃度のアスベストをばらまいて約1万3000人の駅利用者や駅職員に吸わせたあげく、延々と「飛散してない」などの主張を繰り返した業者の責任がようやく確定した。
その間に規制も若干強化されたが、いまだにアスベストを飛散させる不適正工事が相次ぐ。作業場内外の測定は義務づけられていないうえ、結果が出るまで数日掛かる状況も変わらない。今回の件では名古屋市が独自測定していたからこそ、アスベスト飛散が2日間で済んだにすぎない。
そうした取り組みをしていない地域では測定もなく、測定している場合も飛散があれば測定データが改ざんされて闇に葬られてしまうのが実態だ。なにしろ筆者に対してもそうした内部告発が時々届くほどなのである。
測定結果が出るまで作業を停止するなり、すぐ結果を出すために欧米で採用されているようにその場ですぐ顕微鏡観察をすることだけでなく、データ改ざんを防ぐための仕組みはもちろん、欧米で導入されている除去業者の許認可制導入など、ほかの様々な問題も含めて改めて制度を抜本改正することが必要だ。そのうえで今回のようにずさんな工事をした業者にはきちんと責任を負わせていかなければ現場は良くならない。
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