日本維新の会が、2019年に所属する柴田巧参議院議員の後援組織「柴田巧連合後援会」に250万円の寄付をしたにもかかわらず、政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載していなかったとして、松井一郎代表と会計責任者の東徹参院議員が4月に刑事告発されていたことが分かった。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)
◆裏金収入の可能性?
告発状によると、「柴田巧連合後援会」(以下、柴田後援会)は日本維新の会から2019年10月29日に250万円の寄付を受けたと政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載されているのに、日本維新の会の収支報告書には、250万円を寄付支出した記載はなかった。
日本維新の会は、収支報告書に支出の記載していないため、実際の寄付の原資の250万円の収入も記載しないことになる。松井代表と東議員は、収入と支出の各250万円の不記載の政治資金規正法違反の罪で2人は刑事告発された。告発したのは上脇博之神戸学院大学教授。
また告発状では、2019年に寄付をした250万円の原資の収入がなったとしても、250万円の寄付支出をしていれば、繰越額は収支報告書に記載された金額よりも250万円少なかったはずだが、2020年の収支報告書にもその記載はなく、政治資金規正法違反の虚偽記載罪にあたると指摘している。
告発した上脇教授は理由を次のように述べる。
「日本維新の会が柴田後援会への寄付を記載していないのは、政治資金規正法違反になります。250万円の寄付支出を記載しなかったのは、その原資の250万円が裏金収入だったからではないでしょうか」と、表に出せないお金だった可能性を指摘した。
上脇教授が続ける。
「柴田後援会に寄付したのが日本維新の会以外の者だった場合に備えて、維新の柴田巧議員らも政治資金規正法違反の虚偽記入罪で予備的告発をしました。いずれにしても、政治資金規正法違反になるのです。遵法精神がないのでしょう」
柴田後援会への250万円の寄付は、日本維新の会からのものだと記載されているが、この記載が仮にミスであったとしても、やはり法律違反になると、政治資金問題の専門家である上脇教授は指摘した。
◆柴田議員も虚偽記載で刑事告発さる
柴田議員は2019年7月に日本維新の会から参院比例区で立候補して当選。地盤は富山県で現在、党政調会長代行を務めている。柴田議員と後援会の関係者は、別の一件で4月に上脇教授から虚偽記載の疑いで刑事告発されている。
柴田議員は2019年の参院選前に後援会から選挙関係費として約595万円の寄付を受けたと選挙運動収支報告書に記載していたが、その後、その大部分の587万円を選挙運動収支報告書から削除した。一方、後援会の収支報告書では記載されたままになっていた。
つまり、後援会は587万円の寄付をしたのに、受け取った柴田議員は受領の記載をしていない。これが虚偽記載に当たるということだ。
まもなく夏の参議院議員選挙だ。日本維新の会は「身を切る改革」をしきりにアピールしているが、不明朗なカネの問題が露呈し続けている。これでどこが「身を切る改革」なのか。選挙向けのパフォーマンスと言われても仕方ないだろう。
■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。
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