佐喜眞淳氏は旧統一教会と関係していたことも明らかになっている。本人のツイッターより。

◆佐喜眞氏は知事選に立候補予定

9月に投開票される沖縄県知事選挙に立候補を予定している佐喜眞淳(さきまあつし)氏の政治団体「佐喜眞アツシ後援会」が、法律で決められた寄付上限を超えた寄付を佐喜眞氏本人から受けていたことが政治資金収支報告書で明らかになった。また、後援会が開催した新年会は赤字となっており、有権者が参加していれば法律違反になる可能性が高いことも分かった。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

◆取材を受け慌て訂正か

自民党・公明党からの推薦で立候補する予定の佐喜眞淳氏の政治団体「佐喜眞アツシ後援会」(以下、後援会)は、「その他の団体」というカテゴリーに分類される政治団体だ。

政治資金規正法(以下、規正法)で定められている「その他の政治団体」に個人で寄付できる上限は年間150万円。しかし、佐喜眞淳氏は、2019年2月15日に後援会に300万円を寄付していると政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載されていた。

後援会にこの件を質問したところ「規正法に従い、佐喜眞淳からの寄付が150万円、貸付が150万円であるので、その旨を8月9日付で沖縄県選挙管理委員会に訂正をしました」と回答があった。

現在、沖縄県選挙管理委員会で公開されている後援会の収支報告書は、8月9日に150万円が佐喜眞淳氏から貸付を受けたと訂正されており、翌20年も貸付が繰越されていることが確認された。

◆貸付金と勘違いなどありえないのでは?

政治資金に詳しい上脇博之神戸学院大学教授は以下のように指摘した。
「通常、300万円を受領した後援会は、佐喜眞氏に領収書を発行するので、後援会が貸付金を寄附金だったと勘違いすれば、領収書を受領した時点で佐喜眞氏は後援会の勘違いに気づき、会計帳簿にも収支報告書にも寄付金が300万円だったと記載するはずがありませんから、そのような勘違いがなされたはずがありません。

規正法が禁止する寄附の上限を超える寄附だったと取材を受けたので、慌てて訂正したのでしょう。しかし、貸付がなく、寄付金が300万円だったのが真実でしょうから、その場合の訂正は規正法違反の虚偽記入罪になってしまいます」

取材後になって訂正された佐喜眞氏の政治資金収支報告書。

◆公選法違反の赤字パーティー開催の疑いも

後援会は2019年2月14日に新年会を開催している。その収入は28万6000円、支出は会場使用料32万1000円、食事代5万6000円の合計37万7000円だったと収支報告書には記載されている。計算するとこの新年会は9万1000円の赤字となる。赤字のパーティーは公職選挙法(以下、公選法)で選挙買収になり禁止されている。

赤字の新年会について後援会に聞いたところ「総務省の見解によれば後援団体が行事や催事を開催するにあたってその開催場所の確保は必要不可欠なものであり、これに要する費用を開催主体である後援団体が負担することは寄附に該当しないとされております。選挙区寄付には当たらない旨を申し添えます」と回答があった。

後援会を管轄する沖縄県選挙管理委員会は赤字になったパーティーが違法かどうかを判断する立場にはないとした上で「一般論として会場費は事業費に当たる」とした。

前述の上脇教授は以下のように指摘した。

「沖縄県選管も指摘するように会場費は事業費に当たるので、パーティー事業を開催したら、会場代を含めて赤字になり、主催者の後援会がその赤字分を負担すれば、参加者に選挙区の者がいたら公選法が禁止する寄附に該当するので後援会は違法な寄附をしたことになります」ときっぱりと断言した上で、後援会の見解にも言及した。

「会場費が寄附にならない場合もありますが、それは、パーティー以外の後援会の総会や会議などを開催した場合です。飲食を伴う新年会は総会や会議ではなくパーティーなので、会場代を含め赤字になれば公選法違反の寄附になります。総務省が『飲食を伴う新年会で赤字になっても会場費を除けば黒字なら寄附にならない』旨、説明するとは到底思えない。」

法律の公訴時効は3年なのでもう事件化されることはない。しかし、佐喜眞氏が沖縄県知事選挙に立候補を表明している以上、「政治とカネ」も有権者に問われてしかるべきである。

 

■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。

 

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