自民の沖縄での政治資金の使途は不可解なことばかり。自民沖縄県連のHPより。

◆政治資金収支報告書入手

自民党沖縄県支部連合会が、2018年の沖縄県知事選挙で不可解な支出、寄付をメディア関係企業や他党に対して行っていたことが、政治資金収支報告書(以下、収支報告書)などを分析した結果、分かった。また今回の沖縄県知事選挙に立候補している佐喜眞淳氏を2018年の知事選で支援していた政治団体に対する支出も不透明なことが調査から分かった。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

◆自民から維新に1000万寄付の異様

自民党沖縄県支部連合会(以下、自民沖縄県連)の政治資金収支報告書を見ていると、沖縄県知事選挙のあった2018年は、どう見ても明らかに不可解な支出が目に付く。

まずその一番目。本来ならばライバル政党であるはずの「日本維新の会沖縄県総本部」(以下、維新沖縄本部)に、沖縄県知事選挙(9月13日告示、30日投開票)直前の9月10日に1000万円を寄付しているのだ。

4年前の沖縄県知事選挙で、自民党が日本維新の会(以下、維新の会)に佐喜眞淳氏への推薦を求めたのは8月23日だった。その直後の27日には自民党の二階幹事長(当時)と公明党の井上幹事長(当時)が維新の会の松井一郎代表と会談し、30日には菅義偉官房長官(当時)が維新沖縄本部の事務所を訪れている。そして、維新沖縄本部は同じ30日に佐喜眞淳氏に対して推薦状を交付していた。

調べると、自民沖縄県連は2018年以降、この時以外に維新沖縄本部に寄付をしていない。一連の流れから、自民から維新への異様な1000万円の寄付は、佐喜眞淳氏への推薦をもらった対価とだったと受け取られても仕方ないのではないだろうか。

維新沖縄本部はすでに解散しているため、当時の会計責任者であり現在、浦添市会議員を務めている亀川雅裕氏に対し、浦添市議会を通して質問状を出したが、期日までに回答はなかった。

なぜライバルの維新に1000万円も寄付? 自民には説明責任求められる。自民沖縄県連の政治資金報告書。

◆佐喜眞氏推薦の「お礼」?

上脇博之神戸学院大学教授は以下のように指摘した。
「自民沖縄県連が他党である維新沖縄本部に寄付すること自体が政治的には異常です。そして金額が1000万円と高額なのは二重に異常です。さらに、その寄付は維新沖縄本部が佐喜眞淳氏に推薦を決めた後。自民から維新への寄付は推薦の『お礼』であり、事実上の買収だったのではないかと疑われても仕方ありません。そうでないというのであれば、両党はそれぞれ説明責任を果たす必要があります。」

◆自民県連から佐喜眞側への寄付1億超は使途不明

自民沖縄県連は、佐喜眞淳氏の支援団体だった「沖縄の未来をひらく県民の会」(以下、県民の会)に対しても、2018年の知事選挙の前後に多額の寄付をしている。8月20日に4000万円、8月31日に3400万円、9月10日に3000万円、10月30日に187万円、合計約1億587万円に上る。

2018年の「県民の会」の総収入が約1億2373万円なので、その約85%が自民沖縄県連のからの寄付で賄われていたことになる。さらに驚きなのは、18年度の支出総額約1億1168万円のうち、人件費や事務所費などの経常経費が約9205万円に上っていることだ。

政治団体として「その他の団体」に区分される佐喜眞氏の支援団体「県民の会」は、経常経費は支出の明細の記載及び領収書の写しが必要ない。つまり、自民沖縄県連からの寄付の大部分が何に使われたのか分からないのである。

「県民の会」は2020年に解散しているため、「県民の会」の代表を務めていた安里哲好氏に質問状を送付したが、期日までに回答はなかった。

★新着記事