コロナで中国との国境が封鎖される中、鴨緑江の堤防工事に動員された人々。平安北道を2021年7月中旬に中国側から撮影アジアプレス

◆切ない北住民の韓国への片想い

では北朝鮮住民の意識はどうだろうか? 長く庶民の暮らしを取材してきた経験から言うと、韓国に対して絶えず敵意を煽る政権のプロパガンダにもかかわらず、韓国に対する期待と憧れは強い。

私の同僚のカン・ジウォン記者は脱北者だ。北の人々の心情が痛いほどわかる。彼は私に諭すように言った。

コロナ防疫を口実にした統制で暮らしはどん底。中国との交易がいつ正常化するか見通しも立たない。実現の可能性は低くても、北の人々は韓国の同胞たちが手を差し伸べてくれるのではないかと淡い期待を持ち続けている。韓国人が自分たちに関心を失っていること知れば、絶望的な気持ちになるでしょう。北の民衆の窮状を伝え続けなければなりません

カン記者の言葉に、気持ちを萎えさせている場合ではないと思った。

※8月23日付の毎日新聞に寄稿した記事を加筆修正しました。

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