◆市が石綿飛散リスクを過小説明
7日に市大気・音環境課が現場を立ち入り検査し、散乱する石綿含有の可能性のある粉じんの清掃や散水による飛散防止を口頭指導した。
同課によれば、大気汚染防止法(大防法)や市生活環境保全条例の違反はない。指導は市が公表する「指導基準」で作業場外に石綿が飛散したり、そのおそれがある場合、直ちに市に通報するとともに飛散防止の応急措置を講じることが定められているためだ。
ところが問題はここで終わらなかった。
9月6日以降は石綿関連の作業をしていなかったにもかかわらず、10月17日に再び石綿を含む可能性のある繊維が市の基準を超えて漏えいしていた。19日発表によれば、作業区画境界4カ所のうち3カ所で同2.3~3.3本だったうえ、区画外で同7本を検出した。
市学校整備課はすべての作業を停止。18日夕方に市大気・音環境課に速報値を報告した。同課は翌19日に現場を立ち入り検査し、再び清掃の徹底などを指導した。結局、28日発表で石綿の含有はなかったと報告した。
今後、電動工具の使用はせず、手工具のみで波形スレートのボルトを切断し、手作業で取り外す。石綿の飛散を防止する湿潤剤も使用する。また測定も毎日実施という。29日に試験施工し、その後工事再開する予定だ。
だが、一件落着とは言い難い。横浜市の対応には問題が少なくないからだ。
たとえば石綿飛散リスクの認識や説明だ。
市は10月14日、15日に山王台小学校で保護者説明会を開催。そこで作業区画外への石綿飛散の可能性があるのは屋根材の撤去作業をした9月2日と5日の2日間と説明した。
だが、実際には屋根材と同じ石綿含有の波形スレートを使った外壁の撤去作業が8月15日から18日まで実施されている。市学校整備課は説明していないのだが、じつはその作業でも電動工具を使って同じ方式で作業していた。当然、石綿飛散もあったはずだ。
10月17日に筆者が同課に確認したところ、寺口課長は「(作業初日の)測定時と同じような作業をしていれば(石綿は)出てないと考えていた」と主張した。
電動工具使用の有無を尋ねると「確認していません」と調べていなかった。
市大気・音環境課は「このときも(電動工具を)使われています。基本的に同じ作業です」と認める。9月7日の指導は外壁作業も含めたものという。市学校整備課も後に電動工具の使用を認めた。