◆法の不備も存在

じつは廃棄物の「仮置き」をめぐって法的に明確な位置づけがないことによる問題が以前から起きている。指導や法的処分の基準があいまいのため、今回のように「除去作業中でまだ廃棄物になってない」として保管義務は免れる主張や「廃棄物だが、保管でなく仮置きだ」といった言い逃れが可能なのだ。

どこから保管なのか聞くと同省も「いつからとはっきり設けていません。廃棄物と判断されるタイミングはあやふやなのはたしかで、(建物などから)取り除いた瞬間から(廃棄物と)扱わなくていけないとは現行法令上はできてない」と認める。

吹き付け石綿の除去物など、より厳密な扱いが求められる「廃石綿」も含め、そのつどではないにせよ、せめて即日保管場所に移動することを義務づけるべきではないかと指摘したところ、同省は「なんらかの措置は検討していく必要がある」と表明した。

もう1つ、屋根の上に崩落の危険もある大量保管をしていた問題については、労働安全衛生規則(安衛則)では、落下防止網の設置くらいしか規制がない。以前、解体作業中の外壁の崩落で通行していた女子高生が下敷きになって死亡する事故が2010年に起きているが、結局、ガイドラインや要綱が作られただけだった。

すべてを規制せよというつもりはないが、せめて子どもの命を奪いかねないようなものについてはきちんと履行義務のある落下や危害防止の規定を設けるべきではないか。

 

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