熊本市で11月12日、アスベスト(石綿)やその被害についての勉強会が開催される。(井部正之)

◆ミニ写真展の開催も

主催は患者やその家族らでつくる「アスベスト患者と家族の会連絡会」ら。熊本在住の遺族から「石綿のことを知らない人が多く、知っているという感覚で話されてもわからない」と指摘され、開催を決めた。

当日は石綿による肺がんで夫を亡くした古川和子さんが20年におよぶ支援活動で目にした広範な石綿被害の実態を語るほか、2005年に兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場周辺で環境ばく露とみられる住民の中皮腫(肺や心臓などの膜にできるがん)被害が発生していたことをいち早くドキュメンタリーで報じた映像ディレクターの野崎朋未さんが映像も交えながら当時の舞台裏を明かす。

また聖路加国際大学の長松康子准教授が石綿による中皮腫などを発症した際に患者や家族に対して必要となる支援について解説する。

石綿被害を撮り続けている写真家・今井明さんのミニ写真展も予定している。

あまり知られていない、熊本県内にもかつて存在した石綿鉱山やその跡地における問題について筆者も話すことになっている。

会場は熊本駅前のくまもと森都心プラザ(同市西区春日1丁目14番1号)6階会議室で、開催は11月12日午後1時半から4時まで。参加は無料だが、事前申し込みが必要(電話:050-3592-3903、メール:renrakukai2@gmail.com)。QRコードによる申し込みも可能。なお、Zoom配信も予定しており、同じく申し込みが必要。

石綿は強力な発がん物質で、石綿被害は「史上最大の産業災害」といわれる。

日本では2006年9月から重量の0.1%超含むものは原則禁止。2012年3月以降は全面禁止となった。しかし、過去に使った石綿は建物などに大量に残る。身近に存在しているにもかかわらず、その危険性が十分理解されていない場合が少なくない。

「まずはアスベストやその被害のことを少しでも知ってほしい」と古川さんは参加を呼びかける。

11月12日のアスベスト勉強会の開催告知。最下部に申し込みのメールアドレスやQRコードがある。

 

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