寺田稔総務大臣の国会議員関係団体?である「寺田稔竹原後援会」(以下、竹原後援会)が、すでに死亡している人を会計責任者として政治資金収支報告書(以下、収支報告書)を広島県選挙管理委員会に提出していたとして、政治資金規正法の虚偽記載罪等で寺田大臣ら3人が11月2日、東京地検に刑事告発された。寺田大臣は、代表を務める「自由民主党広島県第5選挙区支部」(以下、政党支部)と寺田大臣の国会議員関係団体 である「寺田稔呉後援会」が、家賃名目として妻に多額の資金を支払っていた問題でも先月25日、東京地検に刑事告発されている。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)
◆有印私文書偽造・同行使罪と収支報告書虚偽記入罪で告発
告発状によると、「竹原後援会」は2019年10月に亡くなった男性を会計責任者にしたまま、2019年分、20年分の収支報告書を提出していた。それだけでなく、宣誓書にも故人の名前を記載した上で押印する偽造が行われていた。
また、活動に5年以上関わっていないと証言している人物を後援会代表にしていたことも週刊文春の報道で明らかになっている。
告発状ではこうした事実に加えて、寺田大臣が団体の事実上の代表者であり、寺田大臣の指示抜きではこうした虚偽文書の偽造などはできなかったと結論付けている。その理由として、寺田大臣が代表を務める政党支部からの寄付が、12年以降、竹原後援会の収入の8割を超えていること、竹原後援会の事務担当者が政党支部の事務担当者と同じであることなどがあげられている。こうした事実などから、寺田大臣が代表を務める政党支部と竹原後援会は事実上、一体として運営がなされていたと告発状は指摘している。
告発状を出した神戸学院大学の上脇博之教授は次のように話す。
「寺田大臣の政党支部の事務担当者は竹原後援会の事務担当者でもあるので、寺田大臣は、5年くらい前に辞任した代表者の後任も、2019年に亡くなった会計責任者の後任も決まっていないことを事務担当者から聞いているはずです。
代表者も会計責任者も不在なのですから、竹原後援会は本来なら解散すべき政治団体です。にもかかわらず、そんな竹原後援会に政党支部が高額な寄付をし続けたのは、支部長の寺田大臣が竹原後援会の事実上の代表者でもあったからに違いありません。それゆえ竹原後援会の事務担当者2人だけではなく、寺田大臣も有印私文書偽造・同行使罪と収支報告書虚偽記入罪で刑事告発したのです」
◆裏金の疑い…妻に12年間で「家賃」3255万円を支払う
寺田大臣のデタラメぶりはこれだけではない。「寺田稔呉後援会」(以下、呉後援会)が、家賃名目として寺田大臣の妻に支払っていた問題でも、政治資金規正法の虚偽記載と不記載に当たるとして寺田大臣と妻ら4人が刑事告発されている。
その告発状によると、政党支部と呉後援会は2009年以降、毎年120万円以上165万円以下を「家賃」としてそれぞれ計上している。支払先は、池田勇人元総理大臣の孫であり寺田総務大臣の妻。2020年まででその総額は政党支部が1746万円、後援会が1509万円、合わせて3255万円に上る。告発状では、3255万円もの政治資金が家賃として処理されていた裏金だと指摘している。
※公訴時効のため2018年以降3年分の家賃のみが告発の対象となっている。
では、3255万円はなぜ裏金として使われていたと告発されているのか。
この問題を最初に報道した週刊文春は、寺田事務所の大臣秘書官が次のよう述べたと報じている。
『「実際、お金のやり取りは無いんですよ。家賃を払っていることになっているんですけど。収支報告書上、入っている形にしているんですよね。」と述べ、人差し指を口元に充て続けて「払ったテイにしているんです」』(週刊文春22年10月13日号)
要するに、寺田事務所が裏金を認めているということである。告発状では、この発言などを根拠に家賃が裏金だったと結論づけている。