◆12月は市場の3分の2の価格で販売
金正恩政権はこの数年、食糧流通の国家独占策を進めてきた。白米とトウモロコシの市場への流出を強く抑制しつつ、国営の「糧穀販売所」(食糧販売所)での販売を強化してきた。
アジアプレスでは12月中旬の流通状況を、平安北道(ピョンアンプクド)、両江道(リャンガンド)、咸鏡北道(ハムギョンプクド)で調査した。
いずれの地域でも市場の食糧価格は概ね白米6000ウォン、トウモロコシ3000ウォンだったが、「糧穀販売所」では白米4200ウォン、トウモロコシ2200ウォンで均一だった(いずれも1キロの価格。100円は約6400ウォン)。
「糧穀販売所」には常時在庫があるわけではなく、世帯ごとに毎月決められた量に限って販売している。咸鏡北道の協力者が12月20日に伝えてきたところでは、「12月分として世帯ごとに10日分を『糧穀販売所』で販売した。これとは別に、工場や企業で正常に出勤している労働者に対して、本人分に限りトウモロコシで3~5日分が支給された」という。
「市場より安値で買えることを人々は歓迎しているが、やはり足りない。不足分は自分で解決せよということだが、多くの人はお金がなく大変厳しい。役人は1月から全量を国が配給すると言っているが、信じる人は1人もいない」
協力者は現状をこう説明した。
金正恩政権は2019年頃から国営の「糧穀販売所」の稼働を始めた。食糧の国家専売制を目論んでいるものと思われる。(石丸次郎)
※アジアプレスでは中国携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
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