総務省から流出した文書を「捏造」だと国会で答弁している高市早苗経済安全保障担当大臣に、今度は自身のウソ疑惑が発生している。会計責任者らが2021年開催のパーティ券に関して奈良地検に2度刑事告発されていたのだ。高市大臣らは2019年開催分のパーティでも、不記載と虚偽記載ですでに2度刑事告発されており、これで計4度目の告発となる。(フリージャーナリスト・鈴木祐太)
◆1回で3000人超分のパーティ収入 コロナ最中にどうやって集めた?
22万円分のパー券購入領収証。収支報告書に記載していなかった。しんぶん赤旗日曜版より提供。
告発状によると、高市大臣が代表を務める「自由民主党奈良県第二選挙区支部」(以下、第二支部)は、2021年7月24日にホテル日航奈良で「Fight On!! Sanae 2021アフタヌーン・セミナー」を開催した。その際の収入は6325万円だった。一方、支出は約220万円だった。
ホテル日航奈良の大宴会場はセミナー方式の机が全て正面に向いている場合だと700人収容できる。セミナーの参加者のブログによると、『入りきらない人は「サテライト部屋」にいた』とある。仮にそのサテライト部屋が2番目に大きい中宴会場だったとしたら、最大120人収容でき、大宴会場と合わせて820が人収容できる。
このセミナーの参加者がSNSに投稿した案内状をみると、パーティ券代は2万円。収入の6325万円を満たすには単純計算すると、3162.5人の参加が必要である。
820人が2万円を払ったとしても1700万円にも届かない。6つある全ての小会議室にもサテライト部屋を用意していたとしても最大で120人。大中宴会場と合わせて最大940人が参加したとしても収入は2000万円にも届かない。
つまり、収入のうち4000万円以上分は、パーティ券は購入したけれども、セミナーには参加していない可能性があるのだ。これは最大収容人数で計算した場合だが、当時はコロナ禍の最中。座席の距離を取っていたとしたら参加人数はもっと少なかった可能性が高い。
政治資金規正法(以下、規正法)では、参加をしていない人の分はパーティ収入ではなく、寄附として処理しなければならない。そのため、高市大臣らは、政治資金収支報告書(以下、収支報告書)において寄付を正確に記載していない不記載に当たる可能性があると、告発状では指摘されている。
◆パー券収入を不記載
疑惑はそれだけではない。このセミナーのパーティ券22万円分を「自由民主党山添村支部」(以下、山添村支部)が購入していたことが収支報告書に記載されていた。しかし、第二支部の収支報告書には記載されていなかった。
規正法では、1個人や1団体から20万円を超えるパーティ券収入があった場合は収支報告書にその明細を記載することが義務付けられている。そのため、第二支部が22万円のパーティ券収入を記載しなかったのは違法の可能性が高いと告発状では指摘している。