経済麻痺によって北朝鮮の都市部では脆弱層に栄養失調や病気で死亡する人が出ている。困窮する人に対する十分な支援、救護もない中、各地で窃盗や強盗などの犯罪が増加し安全局(警察)が非常警戒に入っているという。北部の咸鏡北道(ハムギョンプクド)の状況を報告する。(カン・ジウォン)
◆困窮した都市住民が農村を襲う
茂山(ムサン)郡に住む取材協力者が2月末に伝えてきたところによると、豆満江沿いの農村である南村(ナムチョン)で、真昼に夫婦が自宅で縛られているのが発見されたという。
「男2人が水を飲ませてくれと訪ねてきて、ナイフで脅して家にあった食糧と金目のものをすべて奪って行ったそうだ。商売人を装って農村を回って留守にしている家を探り、家畜や食糧、金目のものを盗んでいく事件が頻発するようになり、安全当局では集中取り締まりをしている。協同農場の家畜や精米所を狙う泥棒が多く、パトロールを2時間ごとにするようになった」
茂山郡では、男が農村に来て商売をするのを無条件に禁じ、発覚した場合は荷物検査をした上で村から立ち去らせている。また外部から来る者は、仮に親戚であっても、立ち寄り先と宿泊先を必ず登録しなければならないという。
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