◆米帝へのこみ上げる憤怒と敵愾心で…
韓米合同軍事演習に強く反発している北朝鮮で、学生と勤労青年が軍への入隊を志願、嘆願する動きが広がり、その数は140万に上ったと国営メディアが大きく伝えた。ところが、志願、嘆願の行事は形式・演出に過ぎず、実際に若者が軍に入る事例は稀だろうと、北部の複数の取材協力者が伝えてきた。(カン・ジウォン)
3月20日付の朝鮮中央通信は、「無謀な核戦争挑発策動に狂奔する米帝と南朝鮮のかいらい逆賊に対するこみ上げる憤怒と敵愾心が全国各地で活火のごとく爆発する中…(中略)、全国的に、人民軍への入隊、復帰を熱烈に志願した青年の数は19日現在、140万人余りに及んでいる」と伝えた。
各地で青年が嘆願する様子の写真を多数掲載した大きな記事であった。
ところが、それは演出された形式だけの行事に過ぎず、実際の入隊手続きは行われていないだろうと、北部地域に住む取材協力者2人が調べて伝えてきた。回答を整理した。( )内は編集部。
◆入隊嘆願行事は形式だけ
――入隊嘆願が140万人になったというが、実際に入隊していますか?
嘆願したからといって軍隊に行くわけではありません。「青年同盟から選抜された人員を任意の瞬間に動員できるよう準備せよ」と、当局から指示がありましたが、形式的に行事をやっただけです。企業別にあらかじめ集められた人員が嘆願行事に参加して名前を書きました。
――入隊手続きが始まったわけではないんですね?
(実際に)身体検査したとか、入隊手続きをして軍服を支給したという話はありませんね。数字は名簿上の人数を合わせたもので形式だけです。嘆願した人の中に、本当に入隊しなければならないと考える人はいないでしょう。
ただ、緊張が解けた後に、嘆願した人たちを炭鉱や農村なんかに集団進出させるつもりではないかと、心配している人はいますね。
――高級中学(高校に該当)卒業予定者の入隊が増えたりしていませんか?
招募生(新兵)の入隊が3月25日から始まりますが、すでに選抜された人数以外に新兵の募集を追加で行うことはないそうです。
――金正恩政権は韓米合同軍事演習に強く反発しています。
情勢は緊張していますが、「信心を持て。我われには元帥様と世界最高の核武力がある」と政治扇動を頻繁にやっています。あまりにもそんな宣伝をたくさんするので、「核があるのになぜ集団嘆願しなければならないのか」と、疑問を口にする人もいます。