(参考写真)平壌のアパート建設に動員された若者。2011年8月平壌にて撮影ク・グァンホ (アジアプレス)

北朝鮮で職場を通じた住民管理が一段と進んでいる。3月中旬から、小企業から大型鉱山まで、労働者たちは歌を歌って行進しながら出勤することが強いられている。北部の咸鏡北道(ハムギョンプクド)両江道(リャンガンド)の取材協力者が伝えてきた。(カン・ジウォン)

◆朝7時に整列して出勤

「毎朝、集団出勤しろと命じられている。7時になると、街中は整列して出勤していく労働者ばかりで、私のように勤めていない者が歩いていると、変な奴だと思われるような雰囲気になってしまった」

両江道の恵山(ヘサン)市に住む取材協力者がこのように伝えてきた。

小学生でもあるまいに、大人を毎朝整列させて、歌まで歌わせながら出勤させる…。

奇怪であるが、情勢が緊張したり、政権が社会統制を強めようとしたりする時、これまでも度々出現した光景である。今、金正恩政権が狙っているのは何だろうか?

咸鏡北道の茂山(ムサン)郡からも、同様の報告があった。茂山郡には北朝鮮最大の鉄鉱山(労働者推定1万人)があるが、取材協力者は、この大企業でも3月中旬から集団出勤が始まり、毎朝歌を歌いながら職場に向かっているとして、状況を次のように説明する。

「茂山鉱山にはいくつもの職場があるが、居住地別に出勤単位(グループ)を作り、職場の作業班長らを責任者にして集団出勤させている。目的は無断欠勤や、職場離脱、無職者をなくすためだと説明を受けた。一人でも脱落者が出たら、単位全体で連隊して責任を負うやり方だ。労働者に対する統制を細分化しようとしている」

3月に入って韓米合同軍事演習が始まり、北朝鮮政権は連日「戦争演習だ」と国営メディアで情勢の緊張を訴えている。だが、今回の集団出勤は、労働者の管理統制を強化することそのものが目的のようだ。

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