◆職場を通じて住民の日常を管理

茂山郡の協力者が説明を続ける。

「この数年、どこの職場でも非社会主義的行為、反社会主義行為、犯罪、流言飛語の流布などに関わっていないか、労働者の動向をチェックしていたが、今では退勤後のプライベートな時間についても調べるようになった。問題があれば労働党組織に報告して法統制機関(警察や検察)に伝える仕組みを作った」

茂山鉱山の場合、出退勤を監督することで、欠勤した者、職場離脱して出て来なくなった者を把握して、放浪や無職、脱北、犯罪行為などの逸脱者を割り出すのだ。それだけではない。

◆家庭のことも漏れなく把握せよ

「職場だけでなく、生活上の問題、家庭の問題まで、すべてを党に報告する仕組みにしたいのだ。『家庭のことでも、針が落ちる音も聞き逃さないようにせよ』というのが党の方針だと幹部が言っていた」

この仕組みの強化が3月から本格的に稼動し始めたわけだ。集団出勤はその一環に過ぎないのだという。

茂山鉱山では3月15日に4日分の配給が中国産のトウモロコシで支給された。労働者本人分だけで、家族分はなかったという。必要量には全く足りないが、経済苦境の中、職場離脱しても現金収入を得るのが容易でないため、わずかな配給でも受け取ろうと、出勤率は高いという。

※アジアプレスで中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

北朝鮮地図 製作アジアプレス

 

 

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