三反園議員は自分の後援会の「三訓会」に寄付を重ねたが、総務省に法定上限を超えていると指摘され訂正した。問題の政治収支資金報告書。

◆裏金疑惑

この疑問を紐解くために過去の収支報告書を調べてみた。そうすると、不自然な修正を見つけた。20年の収支報告書も、三反園議員から三訓会に200万円の寄附があったのだが、22年4月13日に訂正されて、寄付はなかったことにされていた。

訂正には理由があった。鹿児島県医師連盟から200万円の寄附を受け取っていたと、同日に訂正されていたのだ。簡潔に言うと、200万円の寄付は、三反園議員からではなく鹿児島県医師会からの寄附だったと訂正したのだ。

これは不可思議である。三反園議員自身の後援会が、三反園議員本人からの寄附と鹿児島県医師会からの寄附を間違えることなどあるだろうか? 鹿児島県医師会の収支報告書を見ると、三訓会に寄付しているとちゃんと記載されている。三訓会の方に記載がないという指摘がどこからかあったので、鹿児島県医師会から寄付を隠そうとして三反園議員からの寄附として処理していたものを、慌てて鹿児島県医師会からの寄附に訂正したのではないかとの疑いが生じる。

そうであれば、21年初頭、収支報告書上でお金が足りなかったにもかかわらず支払いができたことに合点がいく。

◆「悪質なので刑事告発する」と専門家

以上の問題について、政治資金問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は次のように指摘した。

「三訓会の代表は三反園議員本人なので、同人からのカネが寄附金なのか借入金なのか、会計責任者が間違うはずがありません。1000万円を超える違法寄附だと総務省から指摘を受けたので虚偽の書き換えをしたと思われます」

つまり、総務省の指摘を受けての訂正が、また虚偽の可能性があるという指摘だ。21年の収支報告書については次のように批判する。

「私の試算では、収入と支出の日付が不明な記載を、三訓会にとって一番有利に計算しても、少なくとも約12万円の赤字が生じます。それは裏金から支払われたとしか考えられません。前年の鹿児島県医師会からの200万円を裏金として支出し、その一部が翌年まで残っていたので、それで支払いをしたのではないか。その後、立法事務費65万円の収入があるので、収支報告書上は翌年に52万円余りを繰り越しているので黒字です。それで赤字になっていたことに気づかなかったのでしょう。あまりにも悪質だと思います」

上脇教授は三反園議員と会計責任者を刑事告発する予定だ。

200万円もの寄付金の出処を間違うことがあるのだろうか。それも寄付したとしていたのは三訓会代表を務める三反園議員本人と鹿児島県医師会である。まもしお金が足りなくなって支払いができなければ、その時点で普通は気づくはずだ。常識的に考えればあり得ないことが、三訓会では複数、同時に起きているのだ。そのひとつひとつは杜撰だが、芋づる式に次々と問題点が浮かび上がると、他にも誤魔化があるのではないかと推理したくなる。

三反園議員だけでなく、相次ぐ政治資金パーティのパーティ券不記載問題をはじめ、こうした政治家たちの杜撰な政治資金管理が政治不信を招いているが、国会では一向に改善しようという動きは出て来ないし、そんな空気すらない状況だ。有権者としてどう向き合えばいいのだろうか。

 

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