◆空爆に頼る国軍
「国軍側は、地上戦のほとんどで我々に負けている。そのため、彼らは空爆に頼るしかない状況になっている。空爆がなければ、我々に十分勝算がある」
KNLA第6旅団第18大隊のサンティン副大隊長は、そう断言する。
カレン民族同盟(KNU)側の発表では、クーデター以降、2023年1月までの集計で、国軍とKNLAとの間で8038回の戦闘が起きた。国軍側の兵士は6876人が死亡し、5519人が負傷した一方、KNLA側の兵士は219人が死亡し、605人が負傷した。
こうした地上戦での劣勢から、国軍側は空爆を多用するようになっている。
2023年1月から3月までで、KNU支配地域に対する国軍の空爆は116回あり、住民15人が死亡、20人が負傷した。
◆空爆の爪痕
空爆跡地のひとつ、サンジャウン訓練キャンプを訪れた。
山上の開けた平坦地には、破壊されて骨組みだけが残った木造の建物が3棟あった。近づいてよく見ると、柱には爆弾の破片による傷跡が残されていた。周辺には、直径約5メートル、深さ約1メートルの大きな窪みがふたつできていた。昨年11月の空爆直前まで、PDFの軍事強化訓練が行なわれていた場所だったという。
空爆を経験した兵士によると、空爆の爆弾が爆発すると、鼓膜が破れてしまうほどの大きな音が響き渡るという。振動による衝撃も凄まじく、胸の下に拳を入れて、地面から心臓が離れるように伏せなければならない。
投下される爆弾は、500ポンド(227キロ)級や250ポンド(113キロ)級などで、広範囲に破片が飛散し、人間を殺傷する。500ポンド爆弾の場合、半径120メートルに爆弾の破片が飛び交うといわれる。( 続く)
※提供を受けた写真以外はすべて、2023年2月にミャンマー・カレン解放区で赤津陽治撮影。
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