(参考写真)寒空に一人で杖を突いて歩く老婆に声をかけた。「80歳。生活が苦しくなって息子夫婦から出て行ってくれと言われた」と答えた。2011年2月平壌市郊外にてキム・ドンチョル撮影(アジアプレス)

◆老親や子供を捨て置き去りに

水曜日(5月17日)の人民班会議で、最近生活が厳しくなって親を放置したり、捨てたりして家を出る現象、離婚、乳幼児放置、企業所や組織に報告せずに居住地を無断離脱する行為については、厳重処罰すると安全員(警察官)が来て通知しました、

捨てられた(置き去りにされた)親が死んでいたことが、時間が経ってからわかる事例があります。年寄りが飢えて家を這い出して物乞いをしているのに、息子や娘たちがどこに行ったのか分からないというケースもあります。

人民班では、(老親を捨てる)可能性がありそうな家には、人民班長が面会していますが、特別な対策もなく、「中国から食糧が入って来たら、すぐに供給するので親を捨てて出て行くようなことはするな」と説得しています。

(子供の)コチェビ(浮浪児)を捕えると、どこに住んでいる誰なのか確認します。指紋はすべて取ってあるので、確認して親を探し出して連れて行くのですが、食べるものがなくて(家から)出てきた子供たちを、(親元に)送り返してどうなるというでしょう? 親が家に帰って来なくて、夕方に道路に出て座って泣いている子の姿も見ます。

◆コチェビは捕まえて労働動員

恵山(ヘサン)市場ではコチェビの取り締まりをしていますが、それでも徘徊しています。取り締まりを避けるため、売り場の間に隠してほしいとせがむコチェビもいます。年齢は、あまり幼い子はおらず、10歳以上から60代までいろいろです。

年のいった子供たちは、捕まえて集団で農村動員や建設現場に送ったりしていますが、また逃げ出すので、安全部では除隊軍人を(動員先の)管理人員として追加募集しました。

食べるため、何とか皆生き伸びるために努力しても、やっていけなくて、(生きるのを)諦める人もいます。5月14日には、夫婦が6歳の息子と一緒に鶏を一匹買ってネズミ薬を入れて食べて自殺する事件がありました。子供は幸い死なずに済み、孤児院に送ることになったけれど、どうなるんでしょうね。

5月26日に咸鏡北道(ハムギョンプクド)の会寧(フェリョン)から届いた情報によれば、国営の「糧食販売所」で5月下旬に困難世帯に限り白米を1キロ5200ウォンで、2キロのみ販売。軍糧米から転用したという。トウモロコシの販売はなかった。年初は4400ウォンだったので、公定の販売価格も上昇している。
※1000ウォンは約17円。

次回は最近の市場と「糧食販売所」の状況について報告する。

北朝鮮地図 制作アジアプレス

 

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