◆荒れる軍兵士たち

とくに大きな問題になっているのは軍兵士による強盗が頻発していることだ。

「犯人が軍人の場合、顔が露出しても(警察は)部隊に入って対面調査ができない。それをいいことに、兵士が昼間でも、人通りの多い所でも、住民に言いがかりをつけたり、物を奪ったりすることが増えている。私も通りすがりの兵士たちに煙草をねだられて断ると、いちゃもんをつけて絡んできたので、結局怖くてタバコを全部渡した。そうしないと自転車も荷物もすべて奪われてしまいそうだった。部隊では兵士の外出を統制しているというが、軍人による強盗事件はずっと発生している」

強盗など凶悪犯罪の増加の背景には、経済悪化で困窮に喘ぐ住民が増えていることにある。地方都市では脆弱層に餓死者まで発生している。軍兵士による強盗が頻発しているのは、軍部隊に対する食糧など必需品の供給に支障が生じている可能性が考えられる。

「盗もうが何をしようが、とにかく飢え死にせずに生き延びなければならないというのが最近の世間の風潮だ」

と両江道に住む別の協力者は言う。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

 

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