岸田改造内閣で初の刑事告発となった加藤鮎子こども担当大臣。加藤氏のフェイスブックより。

加藤鮎子こども担当大臣が代表を務める資金管理団体「加藤鮎子地域政策研究会」(以下、政策研究会)が、法律の上限を超える250万円のパーティ券収入を受けていた問題で15日、政治資金規正法(以下、規正法)違反で山形地検に刑事告発されたことが分かった。加藤大臣は、13日に行われた岸田内閣の内閣改造で初入閣したばかり。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

◆上限の100万円超のパー券代受け取り

告発状によると、「政策研究会」は、2021年10月13日「だだちゃ豆セミナー2021」(以下、パーティ)を開催し、1948万円の収入を得た。そのパーティ券を購入した団体の一つが「鮎友会」だ。セミナー代として250万円分支払ったことが「鮎友会」の政治資金収支報告書(以下、収支報告書)でも「政策研究会」の収支報告書でも確認できる。規正法では、個人及び団体が一つのパーティに支出できる上限を150万円と定めており、250万円のパーティ券購入は違法だ。

「鮎友会」は加藤大臣の国会議員関係団体に指定されていて、事実上加藤大臣の支配下にある政治団体だ。そのため、告発状ではこれだけ巨額の支出を会計責任者だけの判断ではできないため、加藤大臣も関与したと結論付けている。また、パーティが開催された翌日の14日に衆議院が解散したことから、このパーティが事実上選挙資金を得るために行われたとも指摘している。

加藤大臣を刑事告発した上脇博之神戸学院大学教授は次のように指摘する。

◆選挙のためにあえて規正法違反犯したのでは?

「パーティ券代を支払った側と支払を受けた側とで、収支報告書の記載はその目的も金額も日付も完全に一致していました。両者が単純ミスをすることはないので、どうしても250万円が必要だったのでしょう。多分、衆院総選挙のために政治資金が必要だったので、あえて規正法違反を犯したのでしょう。

こんな遵法精神のない政治団体の代表者である加藤議員が大臣に内定と報道されたので、私は12日の夜に告発状を一気に書き上げ、翌13日の朝、告発状と証拠書類を山形地検に郵送したのです」

自民党の国会議員に相次ぐ「政治とカネ」問題。しかしながら、永田町からはザル法と言われている規正法や公職選挙法の改正を求める声が聞こえてこない。民主主義や政治が「カネ」の力で左右されないためにも有権者が声をあげノーを突き付けることが必要ではないだろうか。

 

■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。

 

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