ロシアを訪問した金正恩氏はプーチン大統領と4時間ほど共に過ごしたという。9月14日の労働新聞より引用。

金正恩氏が5泊6日のロシア訪問を終えて9月19日未明に北朝鮮に帰国した。国内では、訪ロ中から「金正恩元帥様のご苦労に報いよう」という大がかりな行事が行われていた模様だ。帰国前の9月18日、両江道に住む取材協力者から話を聞いた。(聞き手 カン・ジウォン

◆元帥様の重荷を少しでも減らせと青年を動員に志願させる

――金正恩氏のロシア訪問中の国内の様子はどうでしたか?

コロナのせいで長く国際行事がなかったせいか、今回のロシア訪問で政府は大騒ぎしています。大宣伝です。

 

――どんな内容ですか?

ロシア訪問から帰ってくる元帥様を、さらに高い努力的成果で迎えようという呼号(スローガン)を掲げて、青年たちや組織を大勢動員した行事が続いています。対象建設事業(国家プロジェクト工事)や農作業支援などに自発的に乗り出せと言っています。嘆願行事もしています。

 

――嘆願行事とは?

明日(19)日には、恵山(ヘサン)鋼鉄工場で、青年同盟(所属の労働者)が「農村進出」嘆願の行事を行うそうです。『元帥様の重荷を少しでも減らして差し上げようという気持ちで、困難で大変な部門に進出させてほしい』と願い出るわけです。

でも鋼鉄工場では、あまりに暮らしが苦しくて、農村に転出したいという労働者たちの申請があったのに、工場では8月に全て却下していたんですよ。それを今になって行事でやるのだそうだ。

※コロナパンデミック前まで、協働農場員は最も貧しい階層だとみなされていた。そんな協同農場に都市から転出することを「農村進出」と呼ぶが、行こうとする人はほとんどいなかった。パンデミック後は都市住民の現金収入が激減して生活困難に陥る人が急増し、「農村進出」を申請する都市貧民層が現れていた。

〇〇工場では16日の「生活総和」の時間に、党員を対象に別途に自己批判をさせました。「私たちはどのように働いているのか?」 「党の意図通りに生きてきたか」という内容だったそうです。

※生活総話 全国の職場や組織、学校で、過去一週間、党と指導者の指示通りに生活できたか総括する反省会が持たれる。

◆ロシアへの期待? あまりない

――ロシアとの関係改善に人々の関心は?

今後はロシアとの親善関係を拡大発展させ、経済、貿易、軍事で相互協力するのだと政府は説明しています。軍事はよく分からないけれど、経済と貿易については、住民たちは少し関心を持っています。でも、これまで基本的なことは中国とばかりやってきたので、ロシアにあまり期待する雰囲気はありません。

 

――食糧支援問題が朝ロ間で話された可能性があります。

食糧支援には関心を持っていますよ。ロシアからは小麦粉が入ってくるという期待ですが、やはりこれまでたくさん送ってきたのは中国だから、実際に(小麦粉が)届くかどうか様子を見てみようという程度かな。

 

※アジアプレスでは、中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

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