◆シンプルな経緯に紛れる偽りの主張
スペインは、植民地独立の道筋を立てず、西サハラをモロッコとモーリタニアに割譲して撤退した。現在はその大部分をモロッコが軍事占領し、サハラーウィは抗戦を続けている。スペインと国連によって2度約束された住民投票は、和平案合意から32年たってなお、実現の目処は立っていない。これが西サハラ問題の経緯だ。
あるSADRの外交官は、私にこう語った。
「西サハラ問題はなにも複雑ではありません。私たちは、独立させてくれと言うつもりすらありません。ただ、投票(を実現)させてほしいのです」
ところで、本稿に記した経緯には、ひとつの虚偽が含まれている。西サハラはそもそも、モロッコの“失地”ではないのだ。(続く)
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