◆「自分が銃を持つなんて」
この日参加したのは、20~50代の男女で、学生や会社員、主婦らだ。数カ月にわたる訓練を続けてきた。 建築士の女性、マリアさん(30)は、ロシア軍の攻撃で友人を亡くしたことから、防衛隊に志願。実銃を撃つ訓練を重ねた。 「自分が銃を持つなんて思いもしなかった。でも故郷を守るためには必要と感じています」
侵攻が始まって以降、各地で市民防衛隊が編成された。自発的な市民からなり、要請があれば、検問やパトロールも担う。 ビクトリアさん(52)の職業は服飾デザイナー。2カ月前に防衛隊に登録した。黒海沿いの美しい浜辺で泳ぐのが毎年の楽しみだったが、いまはそこに飛んでくるミサイルに怯えなければならないと憤る。 侵攻が始まり、毎日、市民の命が奪われるなか、意識が変わったという。 「私はもう『平和な市民』でいることはできなくなった」 ミサイルや砲撃による民間人の犠牲は絶えない。ロシア軍が再び攻勢に転じれば、近隣都市への進撃もありうる。どの隊員の表情にも切迫感があった。